新着順に100件まで掲載
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		  【連載】ギッチョムの気仙沼だより(25)・「港まち記者の卒論」今回は、まさに「私事」について書く。 このブログを主宰している細田利之さんが経営する株式会社「エン」の出版事業部から「港まち記者の卒論〜『気仙沼人』との泣き笑い見聞録」を10月9日、出版した。無名以下の著者ゆえ、Amazonからの直販のみ。街の本屋さんでは購入できない。ただし気仙沼だけは、地元の書店でも購入できるようにする予定だ。 内容は、記者時代にいろいろな場面で出会った12組(計22人)へのインタビューと、記者として体験した出来事を四つに分け、オムニバス形式で挟み込んで...
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		   【連載】写真短歌(22)・・川喜田 晶子深々と眠る獣のたましひのさやばしるやうに秋は来にけり川喜田 晶子 〈眠り〉が、人の意識よりも無意識と深く繋がっているのなら、私たちは、眠っているあいだにしかできない仕事を、自分でも知らないうちに成し遂げているのかもしれません。あるいは、だれかの魂と、知らないうちに出逢っているのかもしれません。この世界の〈気〉の動きは、私たちの〈眠り〉が司っている、と考えるなら。深まる秋の眠りの中で、今宵は誰と出逢い、何を成し遂げられるでしょうか。
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		   佐藤 紀生さんの本、出版!「港まち記者の卒論」〜「気仙沼人」との泣き笑い見聞録「ギッチョムの気仙沼だより」を連載中の、佐藤 紀生さんの本、『「港まち記者の卒論」〜「気仙沼人」との泣き笑い見聞録』を出版しました。大手メディアでは伝えきれなかった、気仙沼のあの時と今、そしてこれからを、地元記者ならではの視点で書いていただきました。気仙沼の方、宮城県の方、東北の方はもちろん、全国の方に読んでいただきたい素晴らしい本です。この本の出版に携われたこと、幸せなことだと思っています。 2025年10月10日きらめきぷらす:編集長 細田 Amazonでの購入はこちらから 目次 カツ船...
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		   【連載】一枚の写真「曼珠沙華」・・太宰 宏恵幼い頃、小道で初めて遭遇した曼珠沙華に、ぞっとして慌て逃げた記憶があります。 墓地の近くに咲いていたからなのか、纏う独特の妖艶な雰囲気のせいなのか、若しくは、深い紅の色彩が、子どもの私には恐ろしく見えたのか、大人になり不思議な思い出を振り返ると、実は曼珠沙華には毒が有るということを知りました。 反対に、大人になってこの花に魅了される理由は、そこにあるのかもしれません。あらゆる人間が作り出す造形物においても、完全、完璧なる何かより、密かな少量の雑味や遊びがある方が、味わい深さ...
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		   シーボルト江戸参府200年記念 衣裳デモンストレーション:令和7年10月25日(土)衣裳デモンストレーション 令和7年10月25日(土) 午前11時~午後4時於 柴又 帝釈天 参道阿蘭陀商館長、シーボルト、ビュルガー(助手)の衣裳を着た3人と、参道で会えます。 記 念 講 演 講 師: 横 山 実(國學院大學名誉教授、国際浮世絵学会理事)日 時: 同日の10月25日(土)の午後1時~午後4時場 所: 柴又帝釈天参道 亀家本舗の2階ホール「鶴亀亭」 亀家本舗 東京下町名物 葛飾柴又の草だんご 入場無料で予約は不要です。 第1部「川崎宿から江戸への旅路―浮世絵映像で...
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		   横山實コレクション 歌麿のBeauty 栄枯盛衰展・令和7年10月28日(火)〜11月2日(日)会 場:武蔵野画廊 世田谷区北沢2-32-8 小田急線・京王井の頭線 下北沢駅下車 徒歩3分入場無料 202510 歌麿展ダウンロード
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		   【連載】写真短歌(21)・・川喜田 晶子猫じやらしひと群れほどの幼さに照らされてゐるわが心かな川喜田 晶子 おそらく三才くらいの頃から、自分の中には、猫じゃらしのような〈幼さ〉が居すわっているようです。なにがしかの生き難さを感じた時に、その生き難さの元凶に向かって、良くも悪しくも精いっぱい抗ってくれるのは、この〈猫じゃらし〉。あまり増殖しても困るのですが、失っても困る。猫じゃらしひと群れほどの放つ光は、時に、叡智に満ちて感じられます。
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		   【連載】一枚の写真「ゆらめく」・・太宰 宏恵9月に入り、私の暮らす関東では、黄金色になった田んぼの稲が、次々と刈り取られていきます。 辺り一面に覆われていた稲が無くなると、その景色から、寒い季節へ向かっていることを突然認識し、地面の落穂と、刈られた後の稲の束がいっそう寂しく感じます。 日本人がお米を食べ始めたのは、遥か昔の3000年ほど前だそうです。完全に同じ形ではないにしても、日本人がずっと育て、伝えてきた大切なもののひとつであることは間違いありません。途方もない時間を経て、私にまで届いてくれた奇跡。 遠い先人たちと...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(24)・「気仙沼のサンマ、サンマの気仙沼」今年、佐藤家から長女の嫁ぎ先に送ったサンマ サンマ。 カツオと並んで気仙沼港の水揚げを支えてきたサンマ。秋、魚市場はサンマと、戻りガツオの水揚げで賑わう。 その殺気立つような、湧き立つような水揚げラッシュは、地元記者をしていた私にとっても、気仙沼港が一年で一番、活況を呈する、その空間に身を置く喜びを与えてくれた。 そのサンマ。ここ数年は不漁が続いている。量も少なければ、魚体のサイズも小さい。昨年、気仙沼で水揚げされたサンマ。佐藤家の食卓に載った塩焼きは、まさにイワシサイ...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(23)・「氷の水族館」気仙沼市 「氷の水族館」 *現在の展示とは異なります。 気仙沼にはユニークな水族館がある。それは「氷の水族館」。マイナス20度という冷凍庫の中に、氷の中を「泳ぐ」魚が展示されている。全国有数の漁港である気仙沼。その気仙沼魚市場に水揚げされるサンマやカツオ、マダコ、沿岸漁でとれるカサゴやキンメダイなどなど約40種類700匹の魚が、列を成して「泳ぐ」。その姿が高度な技術で作られた透明度の高い氷の中に封印されている。世界でも珍しい、生きた魚のいない水族館だ。 気仙沼にこの「氷の...
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		   【連載】写真短歌(20)・・川喜田 晶子蜩の声の途切れを超えてゆけ 誰も知らない君の言葉で川喜田 晶子 〈もうひとつの世界〉の入り口へとひたすらに伸びてゆく、金色の糸のような蜩の声。その声の糸を、耳と魂とで丁寧に辿ってゆこうとするのですが、糸はときどきぷつりと途切れ、静寂へ突き返される無念と安堵が胸底にひろがります。蜩の声のその先へ紡ぎ足す糸のようにして生まれたのが、原初の〈言葉〉というものだったかもしれません。
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		   一枚の写真「雨上がりに」・・太宰 宏恵古来から水の演出は、日本の夏の暑さを凌ぐための工夫であり、不思議な文化のひとつだと言えるでしょう。内水や霧吹きで潤いを与えると、蒸気が実際の温度を下げてくれるだけでなく、視覚的にとても涼やかに感じます。 お部屋の中に飾られる季節の植物に水滴がついていると、1度くらい体感温度が変わるような気持ちになってしまうのは、私だけでしょうか。 そんな景色が見られるかもしれないと思い、雨上がりに蓮の有る公園に出かけました。予想通り、可愛らしい水の粒が、風に揺れる大きな蓮の葉の上でコロコロ...
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		   見角 悠代さんが、ソリストで出演「マーラー:交響曲第8番 千人の交響曲」2025 年 8 月 16 日(土)ミューザ川崎シンフォニーホール いわゆる「千人の交響曲」と呼ばれる、マーラーの中でも最も大きな規模の合唱&ソリスト付きの交響曲です。第一部はグレゴリウス聖歌を、第二部はゲーテのファウストの題材に作曲されました。圧倒的な厚みの音楽に、マーラー自身が「宇宙が震え、鳴り響く様」と伝えているほどです。 20250605220708011ダウンロード
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(22)・道の駅「大谷海岸」気仙沼市の南の表玄関とも言えるのが、道の駅・大谷(おおや)海岸。気仙沼市本吉町にあり、三陸縦貫道の「大谷海岸インターチェンジ(IC)」を降りて、わずか500m北に進むだけなので所要時間は3分と掛からない。しかも三陸縦貫道の石巻市以北は、東日本大震災の復興道路として整備されたため、無料区間となっており、事実上、三陸道に併設されている施設とも言える。乗り降り自由なので、寄り道しやすい。 ポールの先には「マンボウ」図柄の看板がある。道の駅・大谷海岸、その目の前に広がる大谷海水浴場...
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		   見角 悠代さん出演 オペラ「ミスター・シンデレラ」「音楽家への軌跡」を連載していただいた、オペラ歌手の見角悠代さんが出演します。日時:9月14日、15日(見角さんの出演は14日)会場:東大和市 ハミングホール 大ホール 見角さんはミジンコの研究者の夫を持つミツバチの研究者の嫁の役を演じます。夫が女王蜂の性ホルモンを過って飲んでしまい、月の満ち欠けと共に女性に変身してしまうという高木達さんのフィクション。 クリックすると、チラシ(表裏両面のPDF)がダウンロードできます。 https://www.humming-hall.jp/event/250915.php
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		   一枚の写真「いつもの場所」・・太宰 宏恵当たり前のように自分の周りにあるもの、いつも通り過ぎている場所、そこに在ることは知っていても、敢えて見なかったものに、意識を向け始める「切り替え」のような時があります。 それは、「いつも」の場所やものを「特別」に見せ、新しい感覚や気づきを運んで来てくれます。 そんな時、決まって私は感謝します。身近にこんな景色があったこと。優しい人に囲まれていたこと。美しいと思えるものに、出会えたこと。 そんなことを思いながらの今月の一枚は、子供の頃からずっと近くにある、【いつもの場所】です。...
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		   【連載】写真短歌(19)・・川喜田 晶子永遠の少し手前が揺れてをり また君に逢ふはずの水域 川喜田 晶子 人やモノや風景との、ときめきを帯びた出逢いの瞬間には、〈永遠〉の匂いがまとわりついているような気がします。目の前に在りながら〈ここではない何処か〉の気配がするそれらとの出逢いを結び目として、私たちの〈有限〉の生は、実は〈永遠〉から測り知れないエネルギーをチャージしているのでしょう。早苗田の水面には、永遠と有限がすくすくと混じり合っています。
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		   一枚の写真「空を覗いて」・・太宰 宏恵今回は、いつもと少し違ったイメージの写真を選ばせていただきました。晴天の昼間に、水に映る雲がかった太陽を撮影しただけなのですが、反転した世界として見える空の様子が、なんとも不思議な空気感となりました。 目の前に広がる景色や植物を直接的に撮影したものとは違って、かなり抽象的な写真にはなりますが、お楽しみいただけましたら幸いです。 太宰 宏恵
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		   【連載】写真短歌(18)・・川喜田 晶子六月は君の涙のうぶ声に重なるやうに口笛を吹く川喜田 晶子 物語や歌は、その作者だけが創造的なのではなく、その作品に、己れの内なる想いを重ね合わせ、流れ出させることのできる読者もまた、大いに能動的な表現をしているように思われます。魂の深い井戸を揺らすような作品と、この世で幾つ出逢うことになるでしょうか。
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(21)「風待ちの街」気仙沼の顔と称される気仙沼湾の最奥部。「内湾地区」と呼ぶ、その一帯は気仙沼市の「へそ」とも言える場所だ。 東日本大震災前は、離島であった大島とを結ぶ定期航路の汽船やフェリーの発着所があり、背後には気仙沼の中心市街を抱えていた。天然の良港として知られる波穏やかな入江は、リアス海岸特有の折りたたんだ海岸線の行き止まりにある。 昭和31年、内湾の入り口よりやや外側にある現在地に移転するまでは一番奥に気仙沼魚市場があり、まさに「港まち・気仙沼」の中核を形成していた。 震災後は、...
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		   【連載】写真短歌(17)・・川喜田 晶子かぎりなくやはらかく闘ふ者の幸(さきは)ふ五月となりにけるかも川喜田 晶子 これでもかというほどのやわらかさで、この世界にデビューした新芽たち。彼らは私の中にも居るのだけれど、さて、居心地はよいだろうか。ここかしこで彼らに出逢うたび、そのような問いが浮かびます。いつまでも彼らがそのやわらかさでよく闘い、幸せに過ごしてほしいと願う五月。とても愛おしい季節です。
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(20)「大理石海岸」海の庭園ともいえる大理石海岸の景観 気仙沼市の景勝地の中には、今から約2億8千万年前の古生代ペルム紀に生成された石灰岩および、その後の火山活動によって火成岩が入り込み、熱によって大理石となった地層が織りなす地形がある。 潮吹岩で知られる「岩井崎」をはじめ、唐桑半島随一の観光地である「巨釜・半造(おがま・はんぞう)」などが代表的だ。 白く輝く大理石と、浸食などにより黒っぽく変色した石灰岩との対比と、自然が「彫刻」した景観が、青い海と空との見事なコントラストを描く。 その中で...
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		   一枚の写真「新緑の森」・・太宰 宏恵緑眩しい季節となりました。庭のさくらんぼが実り、毎日、鳥たちがせっせとついばみにやってきます。 風に揺られて落ちたもの、鳥たちが、うっかり落としたもの、熟す前後の実が、綺麗な新芽の緑色の中でキラキラと輝いていました。 レンズを覗いて見てみると、まるで幼い頃の自分が、新緑の森に迷い込みながら歩いているような気持ちになりました。 幼い頃に見て嬉しくなった、小さな世界の記憶、皆さんの中にも大切に保管されているのかしら?などと考えながら、今月は少しだけ「メルヘン」な一枚をお届けいたし...
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		   東洋のVenusを画いた清長展・横山 實コレクションより日 時:6月24日(火)〜29日(日) 11時〜19日会 場:武蔵屋画廊 世田谷区北沢2-32-8 小田急線・京王井の頭線下北沢駅 徒歩3分お問合せ :tel 03-3468-0330 杵屋 江戸歌舞伎の芝居絵・役者絵を担う鳥居派ながらも、同時代絵師の作風に学び、写生で培った独特の様式を生み出し、天明期の美人画界をリードした清長の名品を展示。画題と同テーマの歌舞伎音楽(長唄)、謡曲・仕舞のライブ公演も同時開催します。 202506 清長展 チラシダウンロード
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		   【番外編】シーボルトの江戸への旅路 No.18 ―シーボルトが見た江戸時代の第一次産業― 横山 実WEBマガジン『きらめき ぷらす』に掲載された17回連載の随筆「シーボルトの江戸への旅路」(以下、『随筆』と略記します)は、2025年1月6日で完結しました(まとめて見たい方は、2025年1月31日に掲載された「シーボルトの江戸への旅路・横山実全17話」にアクセスすれば、ご覧になれます)。 そこで、公益社団法人オーアーゲー・ドイツ東洋文化研究協会(OAG)のシーボルト・ゼミナール・コーディネーターである大胡真人さんから依頼を受けて、第189回 シーボルト・ゼミナール特別講演会において、「シーボルト ...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(19)「気仙沼の発電所」木質バイオマス発電・発熱プラント 気仙沼市には発電所がある。「発電所」は大げさかもしれないが、発電施設には間違いがない。 しかも全国でも珍しい「木質バイオマス発電」施設だ。 バイオマスとは、石油などの化石燃料を除く、動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源を表す言葉であり、木質ということは、森林の間伐材や製材端材や木質チップなどを材料にする。 発電方法には、木質バイオマスを直接燃焼させて、発電させる「蒸気タービン方式」もあるが、気仙沼市にある施設は木質バイオマスをガス化...
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		   一枚の写真「春の光に」・・太宰 宏恵突然気温が上がり、桜も一気に開花してしまいました。桜の写真を。。。。と、外へ出て撮影したものの、皆様にお届けしたいと思えるほどのクオリティに達せず、断念。 そんな中、ふと、現れた白椿。 ポツポツと、穴の空いた花びらが、春の光を通して輝いている。そんな姿が一際美しく見え、今月の一枚といたしました。 春の優しい空気感が、届きますように。 太宰 宏恵
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		   【連載】写真短歌(16)・・川喜田 晶子北向きの心に君は棲みつきて鳥のかたちに身をととのへて川喜田 晶子 定住を好む農耕民タイプか、旅を好む漂泊民タイプか。人それぞれではありましょうが、定住を好む者の心にも異郷への憧れはあり、旅を好む者の心にも定住という安らぎへの渇きは潜んでいるでしょう。渡り鳥たちが北へ旅立つ季節。彼らの旅にも、彼らの留守を過ごす湖にも、どうか幸のありますように。
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(18)「気仙沼市復興祈念公園」気仙沼湾を見下ろす、海抜60mの小高い丘。気仙沼市陣山(じんやま)に、2021年3月11日に開園した「気仙沼市復興祈念公園」。 東日本大震災から丸10年。大方の復興を終えつつあった、まさに節目の日に「祈り」のモニュメントは生まれた。 最も高い場所にあるのが、「祈りの帆(セイル)」。船体に使用されるアルミ鋼材で出来ている。高さは10m。船の帆と合掌する両手を模した。飾りっ気のない白い空間の中に入ると、透明なアクリル板の献花台があり、祈る「両手」「帆」の間から、気仙沼湾を望む...
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		   【連載】写真短歌(15)・・川喜田 晶子花びらと闇のあはひに湧く酒の熟すがごとく人の恋しき川喜田 晶子 人の予定などおかまいなしに、〈恋〉は、人生に幾度か降りかかって来ます。〈恋〉というものに魂をわしづかみにされることで、人は、己れで己れを統御し切ることなど不可能なのだと学習し、世界観を更新し、とびきりの酒のようにおもむろに熟してゆくものなのかもしれません。桃の花を見ていると、そこには童女のようなあどけなさと成熟した女性の「思いのたけ」とが同居しているような気がして、美味しいお酒が呑みたくなってまいります。
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		   一枚の写真「ましろ」・・太宰 宏恵梅の香が漂い、鳥のさえずりが賑やかになってまいりました。 そんな合間の雪予報に、きゅっと肩に力が入る日、冷たい空気を感じながら、カメラを手に取りました。 光の射さないそんな日は、本来望ましい写真は撮りにくいものです。 強い光の無い平らにも思われる場面が、かえってその日の私には、純粋な白の重なり合う厚みのある世界に見え、白い空へと向かっていく白梅にすっとする気持ちがいたしました。 太宰 宏恵
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(17)「恵比寿像と浮見堂」気仙沼湾の最奥に位置する内湾。古くから「鼎(かなえ)が浦」の呼び名がある。 「鼎」とは三本の脚を持つ鉄製の釜を指す。よく3人による対談を「鼎談」と称するのは、これに由来する。 気仙沼内湾の三本の脚となる岬。最も南に位置する「蜂ヶ崎(はちがさき)」。三陸道気仙沼湾横断橋の北側にある。 柏崎(かしざき)は、石灰岩の崖が湾に突き出しており、気仙沼プラザホテルが建つ。最近、全国放送でも「気仙沼湾と横断橋、その先にある大島」という景観が、天気予報のコーナーに登場することが増えたが、...
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		   【連載】写真短歌(14)・・川喜田 晶子八百万(やほよろづ)の枝々に わが鱗(うろくづ)のひとひら しんと隠されてをり川喜田晶子 生まれる前だったか、生まれてから目が開くまでの間だったか、この天地に散らばってしまった自分の〈鱗〉は、風景の中に上手に隠されていて、今生におけるその〈鱗〉との再会が、〈詩〉というものなのではないかと思っています。ひとひらひとひら、丁寧に出逢い直したいものです。
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		   一枚の写真「水仙と幸せと」・・太宰 宏恵冷たく澄んだ空気の中、水仙たちが寄り添って咲いています。レンズを向けると、少し恥ずかしそうに葉の間から顔を覗かせ、時々こちらを確認するような姿が可愛らしくて、思わず写真を撮りました。 私にはそう見えているだけで、本当はそんな事実は無いのかもしれないことも、もちろんわかっています。それでも、見たいようにこの世界を見ることで、小さな喜びに溢れ、今日も私は勝手に幸せになるのです。 太宰 宏恵
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		   シーボルトの江戸への旅路・横山 実 全17話横山 実さんの連載「シーボルトの江戸への旅路―東海道五十三次の浮世絵で辿る― 」の全17話をご覧ください。連載期間:令和6年4月〜令和7年1月
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		   【連載】写真短歌(13)・・川喜田 晶子翼といふ問ひに命を与ふべく湖(うみ)に呼吸をなじませてをり川喜田晶子 〈翼〉のイメージは、いつも私たち人間に、ひとつの問いを投げかけているように思われます。「現実をどのように超えますか?」という永遠の問い。超えるとはどういうことで、どのような力によってそれが可能となるのか。飽きもせずそのようなことを考えながら、この一年も生きてゆくことになりそうです。
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(16)「ふるさと納税」気仙沼市ふるさと納税公式サイトhttps://kesennuma.furusato-nozei.jp/ 気仙沼市に寄せられた2024年度の「ふるさと納税」の寄付額が昨年末で既に100億円の大台を大きく超え、112億7000円に達したことを市は明らかにした。前年度(2023年度)、東北で最多を記録した94億円から更に上積みをし、初の100億円台に乗せた。本年度の「東北一」連覇も見えてきた。 4年前の20年度には4億円だった気仙沼市への「ふるさと納税」寄付額は、21年度に14億円、22年度に49億円、前年度の94億円と倍々ペースで増加してきた。前...
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		   一枚の写真「光・新年に」・・太宰 宏恵新しい年を迎えました。 節目ではありますが、いつもと変わらない日常も大切にしたい気持ちもあり、変わり映えの無い、普段の景色からの一枚を選びました。 枯葉にあたたかな光が通り、それが夕方に点灯した街灯のようで、見ていると、何故かとても救われた気持ちになりました。 「一枚の写真」は、毎月、私という小さな人間が、狭い生活範囲の中で見つけたり、出会った景色をご紹介しているわけですが、今年の視点はもう一回り、狭く小さなものになるかもしれません。 そんな写真にお付き合いくださる皆さま、い...
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		   【連載:最終回】シーボルトの江戸への旅路 No.17―川崎から江戸までの旅(終わり)―横山 実1.4月10日(月)―川崎からの出発 シーボルトが宿泊した川崎宿は、慶長6(1608)年に宿駅伝馬制が制定された時は、正式な宿場ではありませんでした。品川宿と神奈川宿との間が、往復十里と長かったために、元和9(1623)年になって、宿場に認定されたのです。川崎宿は、砂子・久根崎・新宿・小土呂の4町から構成されていて、本陣は、田中本陣・佐藤(惣左衛門)本陣・惣兵衛本陣の三つがありました(私が子ども時代に住んでいた家は、東海道が通っていた砂子の小土呂橋の近くでした)。シーボルト一行は、そのい...
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		   明けましておめでとうございます本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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		   年末年始休業のお知らせきらめきぷらす編集部は、12月28日(土)から1月5日(日)まで、お休みをいただきます。サイトへの掲載、お問い合わせへの対応など、1月6日から再開いたします。この1年、執筆者の方と閲覧者の方には大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.16―藤沢から川崎までの旅―横山 実1.4月9日(日)―藤沢からの出発 シーボルトの一行は、「朝激しい俄か雨をついて」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)100頁。以下、この本は、『日記』と略記します)藤沢を出立しています。その後で、戸塚などの村々を通っています。シーボルトは、戸塚宿と保土ヶ谷宿について、日記に書いていません。彼が通り過ぎた二つの宿場を、浮世絵に基づいて説明しておきます。 図16-1.東海道五拾三次之内 戸塚 元町別道 徳川家康は、豊臣秀吉の命令による関東移封で...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(15)「気仙沼湾横断橋」気仙沼湾横断橋をくぐり、魚市場を目指す漁船 東日本大震災からの復興シンボルとして整備が進められた三陸縦貫自動車道は、今から3年前の2021年12月18日に全線が開通した。宮城の県都・仙台市から、被災した石巻市、南三陸町、そして我が気仙沼市を経て、岩手県では「奇跡の一本松」、昨今では大リーグを目指す「令和の完全試合男」、佐々木朗希投手の出身地である陸前高田市、鉄の町として名を馳せた釜石市、宮古市と北上し、青森県の雄都である八戸市を結ぶ全長359kmの自動車専用道だ。 その中でも、よりシン...
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		   【連載】写真短歌(12)・・川喜田 晶子うつし世に君のかたちを彫るための爪のごとくに はつ冬の月 川喜田晶子 スサノオノミコトが大暴れして高天原から追放された時、その髭や手足の爪を全て抜きとられたといいます。狂暴さの再生をシンボリックに封印されたのでしょう。秩序の世界からどうしてもはみ出してしまうスサノオ的な情念は、わたしたちの〈爪〉に今も身を潜めているでしょうか。西の空に懸かる夕月のほっそりした横顔を見ながら、自分の中の〈スサノオ〉探しをする年の暮れです。
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.15 ―小田原から藤沢までの旅― 横山 実1.4月8日(土)―小田原からの出発 シーボルトは、朝、小田原を出発しています。小田原は、「かなり大きな町で、入り口と出口に門と番所があり、店は少ないー娼家が多く、中から朝のふしだらな衣裳をまとった女たちがわれわれに秋波を送っていた」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)98頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。 図15-1.東海道五十三駅道中記細見双六で描かれた小田原 広重が画いた東海道五十三駅道中記細見双六(以下においては、「...
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		   一枚の写真「師走の紅葉」・・太宰 宏恵温かな日が続いている今年の冬。本来ならばすっかり終わっているはずの紅葉に、かなりのズレが見られるように思います。単に木々の種類によるものだけでなく、例年に比べて個々のペースや環境、地域によっても、随分違いや遅れがあるように感じています。 そんな中、師走にやっと色づいてきた紅葉が目に入りました。優しい光に照らされて、ゆっくりと変化していく色彩と共に、穏やかな冬を楽しんでいるようにも見えました。 ご挨拶には少々早い気もいたしますが、皆さま、どうぞ良い年をお迎えくださいませ。
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.14 ―沼津から小田原までの旅― 横山 実1.4月7日(金)―沼津からの出発 シーボルトは、ビュルガーとともに、箱根に行く準備のために、4時頃に出立の準備にとりかかっています。夜明けとともに宿を出ましたが、間もなく朝日が昇ってきました。三島村の近くで「私は、意を決してビュルガー・・とともに乗物をおり、必要な器具を携えて急いで先行した」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)94頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。三島村では、大明神という神社を見ています。 図14-1.東海道...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(14)「海のミルク・カキ」気仙沼市唐桑町地区の穏やかな湾内に並ぶカキの養殖筏 食欲の秋ー。日本は、海に囲まれ、緑の山野が広がる豊かな自然に恵まれている。しかも四季があり、旬の味覚を楽しむことができる。 気仙沼でも秋は、美味しい物の列挙に暇がない。まずは脂の乗った戻りガツオ。そしてサンマ。最近は暖流の勢力が強いため漁場も遠く、水揚げはかつてにくらべれれば芳しくないサンマ。しかも小ぶりなものが主体で「今は昔」的な存在なのが悲しい。真打はカキ。プリップリのカキは冬を越して来春まで、その美味を堪能できる三...
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		   【連載】写真短歌(11)・・川喜田 晶子往く雲のほつれて空となるごとく わが身の端の何処(どこ)からか君 川喜田晶子 形あるものがその形を喪うさまを見守るのは、とても心細いものですが、同時に、その心細さを心強さに変換し、執着を超えさせようとする、なにものかの意思に背中を押されているような気もいたします。いつの間にか空となる雲の在りように見とれながら、〈呼吸〉を整えています。
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		   一枚の写真「シルエットの世界」・・太宰 宏恵1日の後半に美しい夕焼けに出会えた日は、 ご褒美のようで嬉しくなります。 そんな日に限って、 携帯は持っていても、 カメラを持っていないことが多く、 「撮りたかった。」と思えば思うほど、 夕焼けは鮮やかに美しく変化していきます。 今回の写真を撮影した日は、 1日中曇りでした。 ところが、この場所に到着すると、 うっすらと太陽の光が射してきて、 淡く優しい色調の夕焼けとなりました。 空の中にだけ色彩が残り、 反対に今までさまざまな色を見せていた辺りは、 それを失ってシルエットとなる短い時...
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		   合唱のためのオペレッタ「シンデレラ」見角 悠代さん出演!本格的なオペラを楽しめる上に、ちょっと笑える楽しいステージです。見角さんの継母が見どころ! 実際に舞台を見て楽しんだ編集長推薦 12月14日(土) 14:00光ケ丘 IMAホール前売り券 ¥2,500 /当日券 ¥3,000 小学生以下無料全席自由
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		   ハイドンコレギウム第29回演奏会・見角 悠代さん出演見角 悠代さんの、コロラトゥーラ・ソプラノ!超絶技巧とスーパーハイトーンは感動ものです! 実際に何度も体験した編集長推薦 2024年11月30日(土)13:30練馬文化センター 小ホールチケット全席自由 ¥1,000
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.13―蒲原から沼津までの旅―横山 実1.4月5日(水)―蒲原での滞在 図13-1.東海道五十三對 蒲原乃駅 保永堂版の広重の「東海道五拾三次之内」シリーズが、大ヒットしたので、版元は競って趣向を凝らした東海道五十三次物を出版するようになりました。歌川国貞(後の三代豊国)が画いた「東海道五十三次之内(通称・美人東海道)」では、東海道の宿の風景と美人がとりあわせて画かれました。また、役者絵を見立てた「見立役者 東海道五十三對之内」も出版されています。そのような流れの中で、天保15(1844)年から弘化4(1847)年にかけで出版...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(13)室根神社と港まち・気仙沼気仙沼湾内の漁港から室根山を遠望する。天気はまさに「雲居」だ。 「遠くは雲居(くもい)の室根山(むろねさん)」。 公立高校が長く男女別学だった宮城県。女子の鼎が浦高と2005年に合併するまでの旧気仙沼高は我が母校。冒頭に記したのは、当時の校歌の歌い出し部分だ。当地方の最高峰、海抜895mの室根山が、雲をまといそびえるさまを歌っている。しかし室根山は、岩手県一関市室根町(旧岩手県室根村)に位置する。宮城の県立高の校歌の冒頭に、他県の山が歌われていた。しかし、そのことへの異論は耳...
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.12―府中(現在の静岡)から蒲原までの旅―横山 実1.4月4日(火)―府中(静岡)からの出発 シーボルトは、激しい雨の中、府中を出立しましたが、まもなく数軒の小さな店に気付いています。「家々には十二羽あるいはもっと多くのウズラを入れた小さい鳥籠が掛っているのが、よく目についた。この鳥は、ここから余所の地方に広く売られていて、啼き声の良し悪しによって小判一枚ないし二枚の値段がする」((シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)87―88頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。シーボルトは、...
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		   【連載】写真短歌(10)・・川喜田 晶子「ただいま」と「はじめまして」の等しさをくちうつされて秋は来にけり川喜田 晶子 萩の枝先に舞い降りた蝶は、「ただいま」と言っているのでしょうか。それとも「はじめまして」と言っているのでしょうか。萩は去年の萩ではなく、蝶も去年の蝶ではないはずですが、そこには、不思議な約束の匂いがして、間違えずにこの枝に舞い降りたのだ、という確かな気配が漂っています。絶対的な懐かしさと新鮮さ。その融合の相を見誤らないことこそが、生きる上でなにごとかなのだとおもわれます。「おかえり」。そして「は...
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		   一枚の写真「金木犀の終わりと14ヶ所」・・太宰 宏恵金木犀の香が漂ってくると、秋の訪れを感じます。 涼しい初秋の空気に、この金木犀がよく似合うと思い、撮影を楽しみにしていました。数日、カメラを触ることができない日が続き、やっと金木犀を写真に収めようとすると、枝にはもう、葉だけが残り、鮮やかなオレンジ色の花々は、ほとんど落ちていたのです。 残った花と枝葉の様子を上手く撮影はできなかったものの、辺りに落ちた小さな花たちがとても可愛らしく、地面の上で今もなお、嬉しそうに咲いておりました。 香をかすかに感じながらそれらを撮影し、家に戻...
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		   童謡唱歌をもっと楽しく 10月19日(土)・伊藤康英、見角悠代画像は東大和市ハミングホールのサイトから援用しています。 伊藤康英の童謡唱歌をもっと楽しく5 今年もやります! お馴染み、見角悠代+伊藤康英のコラボレーション。 開催日2024年10月19日(土)開場13:30開演14:00会場東大和市民会館ハミングホール小ホール料金全席自由一般1,000円 友の会800円 詳細、お申込みは「東大和市 ハミングホールのサイトをご覧ください。
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		   見角 悠代(みかど はるよ)・音楽家への軌跡(5)第5回 大学院での2年間は飛ぶように過ぎました。かつては助演だったオペラにも、キャストとして出演させて頂けるようになり、時折思った通りの声が出せるようになったような気がしたり、友達を相手に宇宙人みたいな会話もできるようになっていたかもしれません。 ある時、「コロラトゥーラソプラノ」というキーワドであれこれ探しているうちに、その代表格である「ナクソス島のアリアドネ」というオペラの『ツェルビネッタ』という役が歌う「偉大なる女王様」というアリアに出会いました。それをきっかけにリヒャ...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(12)気仙沼ホルモン*写真は、ホルモンを焼きつつ、ビールを飲む至福の瞬間。撮影場所は「お福」店内。 俗に言う「ご当地・B級グルメ」。 気仙沼では、脂の乗った戻りガツオ、塩焼きサンマ、全ての味覚を堪能できるホヤ、秋以降に旨みを増すカキ、メカジキ…などなどの豊富な魚介類、さらには隠れた名産であるマツタケ、きれいな水が育む酒米から造られる地酒、あっ!忘れてはいけないフカヒレなどなど枚挙に暇がないA級グルメが盛りだくさん。 そんな大谷翔平選手クラスの名グルメに対して、気仙沼人にとって愛してやまない肉料...
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.11―日坂から府中(現在の静岡)までの旅―横山 実1.4月2日(日)―日坂からの出発 日坂宿は、比較的小さい宿場で、天保14(1843)年の記録によると、本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠屋33軒等、家数168軒で、住民数は750人でした。大田南畝(1749年-1823年)の「改元紀行」によると、ここではわらび餅が売られていました。また、峠越えをしてきた旅人の足の痛みを治癒する足豆散・足癒散等も売っていました。 シーボルトは、宿を出て山地を通り、東海道の三大難所(峠)の一つとされる小夜の中山へと向かいました。彼は、小夜の中山には「鳴らすと願をかけた人に銭...
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		   一枚の写真「空の景色に」・・太宰 宏恵最近の空はとても美しく、 その表情は刻一刻と変わり、 ずっと眺めていても飽きない程です。 10年前の日本の空は、こんなに高く、 光が澄んで、ドラマチックだったでしょうか? ほぼ360度、空が見渡せる場所から、 5分毎に飛行機が下降してくるのが見えました。 光と雲だけの空よりも、 飛行機の登場により、 ぐっとその景色に引き込まれ、 慌ててシャッターを切ります。 空には毎日多くの人が居るのだと思うと、 不思議な気持ちに包まれ、 飛行機が見えなくなるまで、 その景色をしばらく見つめていました。
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		   【連載】写真短歌(9)・・川喜田 晶子君にだけ軌跡の見える火矢ひとつ つがへて秋の芯を射るなり 川喜田 晶子 その人にしか見えない世界を歌う歌。その人にしか見えない世界をその人にしか描けないように描く作品。それらが〈個〉の殻を打ち破って他者に届くのは、思えばとても不思議なことです。この人は、自分のために歌ってくれているのではないか。自分のために描いてくれているのではないか。この人はなぜ、自分の心の扉をこんなにもやすやすと開けてしまうのだろう。少し青春の匂いのする、そのような出逢いの甘さも苦さも掬い上げつつ、孤独...
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		   【連載】掌の物語(15)たくましいトンボ・樹 亜希会う人みんなが言う。「もう、暑いのは飽きた」 京都では、年々夏の期間が長くなり、冬になればまた、底冷えしてたいそう冷える。なのに、体温を越えて、四十度近い気温が何十日も連続すると、からだから精気が汗とともに、流されて行く気がする。 私がまだ、学生で若かった頃は祇園祭が楽しみで、大文字もそこそこ嬉しく思った。本当は宗教行事で故人がお盆の間におもどりになり、また、彼岸の向こうへお戻りになる。それが大文字の送り火なのだ。 「今年は一緒に行けるよね」「いや、まだ、だめだ。誰が見て...
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.10―吉田(現在の豊橋)から日坂までの旅―横山 実1、3月31日(日)―吉田からの出発 シーボルトは、3月30日の夜に吉田宿に到着したので、吉田をほとんど見ていません。 図10-1.東海道五十三駅道中記細見双六で描かれた吉田 広重が画いた東海道五十三駅道中記細見双六(以下においては、「双六」と略称します)での吉田の絵では、豊川に架かる豊川橋の向こう側に城が描かれています。吉田城は、天正18(1590)年に豊臣秀吉の命令で家康が関東に転封された後、池田照政(輝政)が城主となっています。彼は、城の拡張や城下町の整備を行いましたので、吉田城は...
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		   【連載】掌の物語(14)居座る者と去る者 ・樹 亜希私はことさら夏の暑さに弱い。 外気温が三十五度を越える京都の夏には、もうどうすることもできない。手も足も出ないどころか、私は鼻先も出すことはできない。しかし、やんごとなき事情ということは、往々にしてある。困ったものだ。通院だけは欠席、キャンセルは不可避。 タクシーに乗って出かける罪悪感から、逃れることはできない。 夜半になれば、涼しいのではないだろうかと、試しに自転車で夜の七時に出てみた。しかし、それが間違いであることに気が付くのは安易である。 吹き出す汗。 熱せられた...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより(11)気仙沼とフェンシング凱旋パレードに臨むロンドン五輪フェンシング日本代表メンバーら。左から2番目に当時の千田選手、1人おいて菅原選手=2012年8月12日、気仙沼市田中前 佐藤紀生撮影 2024年、フランス開催のパリオリンピック。今回も日本人選手はフェアプレーに徹し、懸命な戦いを繰り広げた。その中には、金2個を含む5個のメダルを獲得したフェンシング日本代表の躍進も含まれる。しかも男子個人エペ、同団体フルーレでは共に初の金メダル。男子団体エペで銀メダル、さらに女子はフルーレ、サーブルの団体で初の銅メダル獲得と...
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		   【連載】写真短歌(8)・・川喜田 晶子天地(あめつち)にはじめましてを言ふ前の儀式のごとく日々蕾みをり川喜田晶子 今まさに開こうという桔梗の蕾の中には、どれほどの宝物が詰まっていることでしょう。はち切れそうなそのふくらみを見るたびに、目が開く前の乳児の世界風景を想い描いてしまいます。大人になってゆけば切り棄てなければならない幼児性ではなく、大人になってゆくためにこそ必要な、あらん限りの幼児性のきらめきと、おそらくは数々の前世の記憶が適切に濾過されてできた雫もまた満ち満ちて。そのような記憶をたぐり寄せながら、今日...
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.9―桑名から吉田(現在の豊橋)までの旅―横山 実1.3月28日(火)―桑名からの午後の出発 シーボルトは、11時頃に桑名の城外の町に到着して、「鐘の鋳造や、その他の鉄製品を見物」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)72頁。以下、この本は、『日記』と略記します)しています。徳川四天王の一人であった本多忠勝は、慶長6(1601)年に桑名の初代藩主になり、桑名の町を改造するために、大胆な町割りを行いました。その時、鋳物師を招き入れたので、桑名では鋳物業が勃興したのです。 その後、シーポルトは、若い...
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		   【連載】掌の物語(13)それは無理なことで… ・樹 亜希AIで作成 俺はこの夏に絶対、髪を染めると決めていた。 校則では、極端な髪色に染める、極端な刈り上げ、もしくはツーブロックは禁止されている。たかが髪の毛の色など、どうでもいいことなのだ。それを言うなら、アメリカ人の父親を持つ、ヘンゼルと、ケイトの双子なんて金髪じゃねーか。 それはよくて、なんで日本人はだめなのか。 偏差値が高くて、このままならば東大も京大も合格できるのではないだろうかという、成績を取っている。さほど、ガリ勉でもないが、一度読んだら理解できてしまうので努力をす...
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		   一枚の写真「夏の記憶」・・太宰 宏恵セミの声が聴こえてくると、子供の頃に、初めてセミの「脱け殻」を見つけた時の驚きを思い出します。 独特の形と素材感、孵化の後、残されていくきれいな殻を不思議な気持ちで見つめていました。 セミの命は一週間程と言われていますが、それに反して脱け殻は、朽ちることなく、生きていた証のように長い時間、地上に残されていきます。 魂がたとえ抜けてしまっても美しいもの。 完璧な自然の造形への憧れは、この頃に私の中に生まれたのかもしれません。
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.8 ―石部から桑名までの旅―横山 実1.3月26日(日)―ひと休みした石部からの出発 シーボルトは、石部の宿で少し休んだのち、「横田村の付近でアラ川・・を渡った。・・この川岸の村の手前には、金毘羅を祭って建てた巨大な灯明台で、石灯籠というもの」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)68頁。以下、この本は、『日記』と略記します)がありました。 琵琶湖に注ぐ野洲川の源流の一つである横田川の渡しは、東海道の交通量が増えたので、夜間も運行されるようになりました。そこで、文政5(1822)...
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		   【連載】掌の物語(12) 幻夢・樹 亜希私の前を見慣れた京阪バスが通り過ぎて、ピタリと停止した。まるで何か線でもひかれているかのように。大きな幹線道路、そして買い物客や仕事帰りの人がまばらに、そして足早に通りすぎるけれども、私はまるで迷子のように、思い出を探して歩いていた。正確には、夕方の散歩だった。バス停の横には紫と水色のあじさいがたくさん咲いていた。 私の横に紺色のスーツ姿の男性が飛んできた。「おめでとうございます」「へ?」「当銀行の新しいクジに見事当選されました」「何のこと?」「あ、ご存じありませんか?...
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		  JPG-1024x682.jpg) 【連載】写真短歌(7)・・川喜田 晶子素足にてわが魂の底の底 降り立つ君の夏は光れり川喜田晶子 祭りの折には舞楽などが奉納される、神社の舞殿。ふだんは、細い縄が張りめぐらされ、紙垂(しで)が風に揺れています。古びた木の床を眺めておりますと、異界から降りて来た神というもののその足裏が、まさに床に触れる瞬間の心持ちを想像せずにはいられません。聖と俗の鮮やかでやわらかな出会いの感触が、記憶の底の底からこみ上げてくるようです。
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		   一枚の写真 「蓮に思う」・・太宰 宏恵蒸し暑くなるこの時期、私は、美麗な蓮の花と、水辺で大きく風にゆれる葉に出会うと救われます。 決して気温は変わりませんが、眺めていると、緑と桃色や紫、黄色のグラデーションが、心を涼やかにしてくれるように感じるからです。 そうとはいえ、高温注意報が発令される中、止まらない汗と戦いながらの撮影は、蓮の花にくすくすと、笑われているように思いました。 暑い夏は、やっぱり室内冷房が一番ですね。
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.7 ―京都から石部までの旅―横山 実―1.3月25日(土)―京都からの出発 シーボルトは、「12時に険悪な天候をついて京都を発ち、四条を渡」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)64頁。以下、この本は、『日記』と略記します)ったのです。 図7-1.東海道五拾三次之内 京師 三条大橋 歌川広重は、保永堂版の「東海道五拾三次之内」シリーズで、江戸から順番に東海道の55の宿場を画きました。その終点は、京師(「京師」は皇帝の都を意味しますので、日本では「京都」がそれに該当したのです)の三条大...
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		   【連載】掌の物語(11) ヒーローでもなくラスボスでもない・樹 亜希さりとて、こう、見苦しい人間の姿にはうんざりする。 デスノートの悪魔みたいな感じであれば、納得するのだろうか。私が現れると、ほとんどの人間は呆れかえり、馬鹿にして、見下す。 しかし、どんな金持ちでも、ゲス野郎も、聖人君子ぶったやつも、ただの人間であり煩悩の塊。「今から死にます」の一言を私が言うと、ぽかーんとした顔をしたあと数秒後に、笑い出したり、罵ったり、どうしてなんだとつかみかかり、まあ、大変なことになる。 私の見た目に問題があるのだろうか。 かわいい豆柴、もしくは最近...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑩ 夏の旬・カツオとホヤ気仙沼の夏の食卓の定番、カツオの刺し身とホヤ酢 気仙沼港を代表する魚を一つ挙げるとするならば、それは何と言ってもカツオになる。カツオと言うと、高知県や鹿児島県をイメージする人が多いと思う。カツオのたたき、カツオ節など代表的な食文化を持ち、それは全国区で浸透している。 しかし生鮮カツオの水揚げ日本一となると、それは気仙沼港になる。昨年で27年連続となり、今年も「戻りガツオ」シーズンとなる秋を待たずしてライバルの千葉県勝浦港に肉薄。追い越すのはもはや確実な状況だ。 カツオは黒...
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.6 ―大阪から京都までの旅―横山 実―1.3月17日(金)―大阪からの出発 8時頃に、難波橋(現在の地下鉄「北浜駅」の近くの通称ライオン橋)近くの長崎屋を出発して、1時間ほど北に向かって町の中を進んでいます。そこで「ちょうど刑場に引かれてゆく犯罪人に出会」っています。(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)58頁。以下、この本は、『日記』と略記します)大坂には、千日刑場、鳶田(飛田)刑場、野江刑場、三軒家刑場がありました。野江刑場は、高麗橋から約一里程の東成郡野江村の京街道に面した...
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		   【連載】掌の物語⑩ 旅のおわり・樹 亜希私は誰もいない、一人だけの空間に座って窓の外をみていた。一緒にいたはずの家族はバラバラになってしまい、静かな木の見えるホテルの部屋に座っている。 お金だけは不自由しないだけ、あった。 それは夫にかけてあった生命保険と、会社からの退職金代わりの株式や、自宅を処分したものだった。娘は就職して東京へ転勤となり、そこで知り合った男性と事実婚をした。夫に似て、ドライな性格で、一人娘であることから、入籍はせずに清水の苗字で仕事をしたいことと、子供は持たないという選択を結婚する前から...
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		   【連載】写真短歌(6)・・川喜田 晶子うつし世をはみ出してゐるたましひよ いざまろびゆけ早苗田(さなへだ)の上 川喜田晶子 この現世においては、どうも居心地が悪い魂の持ち主。ともすれば魂の方が、現世の外へ外へとはみ出していってしまう。ところが、そういう人こそ、その現世への激しい憧憬・愛着を抱いていたりするのですから、話は単純ではありません。あどけない表情の稲の赤ちゃんたちがやさしく整列する早苗田は、胸が痛くなるような青を湛えて澄んでいます。日本人の原風景として、〈日常〉の温かな象徴でありながら、かくも青々と澄ん...
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		   一枚の写真 「宝物」・・太宰 宏恵私の中での紫陽花は、背の高い木々や他の植物の影の中で咲いているイメージが有ります。時々風に揺られ、丸い紫陽花にポッと、強い光が落ちてくると、辺り一体が大切にしている宝物を、ほんの一瞬だけ見せてくれているような気持ちになるのです。少しの間、そんな場面に触れ、私の中にも大きな花が咲いたように、心が満たされていきました。まだまだ咲き始めの紫陽花。今年はどんな色や形のものに出会えるのか、楽しみでなりません。
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.5 ―室から大阪までの旅―横山 実―1.3月9日(木)―室からの出発 朝、室の宿を発ち、「すぐうしろにある険しい山を越え、われわれは、駕籠にとって難儀な谷へくだる道を運ばれて行った」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)42頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。山の麓では、「人力でかちとった耕地が拓かれていたが、その綿密さは、どんなにほめてもほめたりない位である。細い床は、畝と畝との間を深い溝で分け、そこにコムギ・ナタネ・ハトマメ・シロエンドウ・カラシが、そして...
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		   【産地リポート】①まるせい果樹園(福島県福島市) 横山 浩一(産地ダイレクト)「まるせい果樹園」さんは、いろいろな種類の果物を育てるだけでなく、直売所や果物狩り、果樹園の中にカフェまで展開していて、地元の人にも「まるせいさんはいろんなことに挑戦している」と言われています。 そのまるせい果樹園の佐藤さんが、また新しいことに挑戦しています。山形県の「さかたの塩」とコラボした「果塩(かしお)」はこだわりぬいた塩に、これまた果物の風味を残すことにこだわり、研究を重ねた末にやっと完成した果物の風味豊かな他に類を見ない果物塩です。 果塩のことを話す佐藤さんは...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑨・ツツジに包まれる徳仙丈山「つつじ街道」手前、満開のツツジを歩く 50万本ものツツジが自生する気仙沼市の徳仙丈(とくせんじょう)山。5月中旬から下旬というわずかな期間ではあるが、全山が真っ赤に彩られる。その鮮やかさに加え、天気のいい日はそこかしこからツツジ越しに気仙沼湾を遠望できる。その景観もまた乙なものがある。 リアス海岸ゆえに、海と山は近い。徳仙丈山の標高は711m。7合目にある山道入り口(標高511m)まで車で行ける。内湾で潮風を浴びた後、30分もかからず森林浴ができる山懐深い場所へと移動できる。気仙沼...
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		   【連載】掌の物語⑨ いい季節なのに・樹 亜希私は仕事の帰りに大型マーケットの二階にある、モスバーガーで、野菜が多めのバーガーにかぶりついていた。トマトが唇の端から出てきそうになり、慌てて紙のナプキンで押さえる。 目の下には大きな道路故に、交通量が絶えることはない。 光、ハロゲンの白色とテールランプの赤色が夜の終わりがないことを示しているようだった。 私の住んでいた滋賀県のある場所では、この時間なら最終バスが終わり、自家用車が田んぼや畑の間を数台走る程度のことだった。おまけにバーガー店ということで、外国人の客が多く...
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		   Fashionable 湖龍斎 多彩な浮世絵展 −横山實コレクションより 6月25日(火)〜30日(日)長唄と謡の空間に置いて 磯田湖龍斎展@下北沢 入場無料会 期:6月25日(火)〜30日(日)11時〜19時 ※最終日は17時閉場会 場:武蔵屋画廊 世田谷区北沢2-32-8 その他の詳細、お問合せ先は下のPDFをご覧ください。 20240625ダウンロード
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.4 ―下関から室までの旅―横山 実1.3月2日(木)―下関港からの出帆 風待ちしていた船は、8時頃に順風を受けて出帆しました。「潮流に助けられてファン・デル・カペレン海峡(シーボルトが名付けた海峡名ですが、現在は「下関海峡」と呼ばれています)を、非常な速力で通過」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)33頁。以下、この本は、『日記』と略記します)しました。 午後には、四国の陸地が見えてきました。「順風を受けて帆走しつづけたが、逆風に変わり、夜十時ごろ家室島と屋代島<普通は...
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		   創作合唱オペレッタ「シンデレラ」合唱団員 募集! 見角悠代さんと歌おう!見角 悠代さんの指導あり! 12月には同じ舞台で歌いましょう! 本作は合唱団の為に作曲された創作オペレッタです。2023年11月には三日月混声合唱団15周年記念コンサート(茨城県牛久市)で上演され、合唱とソリスト,アンサンブル、ダンサーやファンファーレ隊が加わりテンポよく展開するステージで好評を得ました。今回は新たにオーケストラ版に挑戦します。はやみや合唱団では、この公演にあたり応募参加の皆さんをお迎えして「シンデレラ合唱団」を立ち上げます。お子様から大人まで楽しめるステージを共に作り上...
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		   吹奏楽指導研究講座(6月2日・浜松市)に見角悠代さんがゲスト出演します。令和6年度 浜松市アクトシティ音楽院 コミュニティーコース 吹奏楽セミナー 吹奏楽指導研究講座 入場料 無料 (要申込)2024年6月2日(日) 開講:13:30(開場:13:00) 終了:15:30(予定) 詳細、お申込み先は下のPDFをご覧ください。 吹奏楽指導研究講座チラシダウンロード
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		   見角 悠代(みかど はるよ)・音楽家への軌跡(4)第4回 あれよあれよと4年は過ぎました。一般大学では卒業論文を書くところですが、音大では卒業演奏をします。4年間のレッスンの集大成です。同級生たちは有名なオペラの独唱を軸に、同作曲家による歌曲や、同時代に関係や影響のあった作品を取り上げていました。4年追いかけてもやはりそんな知識が及ばなかった私は、「はる」を歌うことにしました。私の名前が「はるよ」だから「はる」の歌!ダジャレみたいなことでしたが、キーワドひとつで自由にあれこれを調べまくったおかげで、結果的にはよい選曲ができま...
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		   【連載】掌の物語⑧ 夢の途中・樹 亜希きっとまた、私はこの人を好きになる。 そんな感じの出会いがいままさに、起ころうとしている。 今から、二十年ほど前の刑事ドラマが完結しないままに、劇場映画として再び蘇った。あの頃から大好きなキャストたちの大活躍に心躍るスクリーンに涙した、私。 それは特別に涙するシーンでもないのに。 あの時、そう、二十年ほど前にもこんな台詞を聞いたことがある気がした。 隣に座っていた人が少しだけ、私をみたように思えた。 しかし、そんなこと関係ない、今の私には。胸を焦がした歯の浮くような会話...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑧・鳴り砂の浜気仙沼市には、2つの鳴り砂の浜辺がある。文字通り、歩くたびに「キュッ、キュッ」と小気味いい音が出る。 本当に音が出て、どんな音なのか?まずは短い動画を添付したので、それを確かめてから、以下の文章を読んでいただければ幸いだ。 底がなるべく平たく、革靴のように硬めで滑らかなほど音が出やすい。さらに、砂を踏むというより、すり足に近い方が、砂がよく鳴る。 撮影した日は、1年前のちょうど今頃。数日間、雨がなく、当日も乾燥注意報が出ていたほどで、砂が乾いた状態であればあるほど、機嫌...
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.3 ―長崎から下関への旅―横山 実1.長崎からの旅立ち シーボルトは、長崎に到着してから2年半後の1826年2月に、参府旅行に加わって、長崎から江戸に向かうことになりました。参府旅行では、使節であるカピタン(オランダ商館長)ステュルレルに、長崎奉行所の役人、阿蘭陀通詞、料理人たちが同行しました。オランダ人の随員の定員は、医官と書記官の各1名でした。そこで、医官のシーボルトとともに、ビュルガーが「書記」として参府旅行に参加しました。地層学者であるビュルガーは、前年に、シーボルトの日本調査を手助けするために、オラン...
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		   太宰 宏恵さんが日本画を出展します。ご存知の方も多いと思いますが、「一枚の写真」を連載していただいている太宰 宏恵さんは、日本画の画家でもあります。5月17日(金)〜19日(日)、横浜赤レンガ倉庫1号館で開催される「THE SQUARE VOL.2」に日本画を出展します。 *太宰さんの在廊日は未定です。 THE SQUARE VOL.2のサイト
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		   一枚の写真 「新樹光」・・太宰 宏恵気持ちの良い風に揺られる新緑と、その間に輝く光の美しさに目を奪われるこの季節が大好きです。梅雨までの短い時期、爽やかなこの感覚を体いっぱいに取り込めるように、自然に囲まれる場所へ、できるだけ出かけたいと思います。
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.2 ―来日と長崎での滞在―
 横山 実1.シーボルトの来日 フィリップ・フランツ・バルタザール・フォン・シーボルトは、1796年2月17日に、貴族の家系の家で、現在のドイツ南部のバイエルン地方のヴュルツブルクで生まれています。ヴュルツブルク大学で、医学を学びましたが、そこでは、観察に基づく臨床医学が重視されていました。観察眼を養った彼は、恩師の影響を受けて、動物、植物、地理などにも関心を持つようになりました。 シーボルトは、国家試験に合格して医師の資格を取得した後に、東洋での研究を志しました。当時のドイツは、中央集...
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		   【連載】シーボルトの江戸への旅路(1)―東海道五十三次の浮世絵で辿る― 横山 実1.連載の経緯 社会的に無名な私が、きらめきぷらすに、上記のような表題で連載原稿を書くことになったかの経緯を書かせていただきます。 きらめきぷらすの読者は、編集者の吉野さんが企画した、渡部全助が執筆した音楽に関する連載記事を楽しまれたことと思います。その連載記事は好評でしたので、渡部全助著『ZENさんのぶらり音楽の旅』として出版されました。その出版記念のパーティが、2023年2月20日にZENさんの行きつけのバーで開かれましたので、私は妻と共に出席しました。 音楽関係者でない私が、この...
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		   【連載】掌の物語⑦ 思い出搾取・樹 亜希私は毎日、知り合いも友人もいないこの東京の雑踏の中で一人戦っていた。もちろん先輩や上司、メンターのみんなに支えられて仕事ができていることは承知している。無理にではないが、自然とヒリヒリする現場の中で、疎まれない程度にいい顔ができるようになっている。 どこへ行ってもお姉さんなんでしょ? 弟がいる感じ。とか、お姉さんがいる感じなどと、勝手に想像されるのだが、私は本物の一人娘である。母親が男の子の子育てをしたくないと強く念じて、私が女としてこの世に生を受けた。 それだけに、甘や...
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		   【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑦・怪物金と日露戦争「鹿折金山跡地を流れる沢にある源氏の滝」 「あっ、これって?」 平な黒塗りのお椀の底に、キラリと光る小さな黄金色があった。大きさは2mm四方ほど。それは砂金。今から10年以上前になるが、気仙沼市北部にある鹿折(ししおり)金山跡地を流れる小川で行った体験講座を取材した際、私も挑戦。川砂を掬い、水をゆっくりと流す作業を繰り返すことわずか10分ほど。小粒以下の物とはいえ、黄金の輝きを手に入れることができた。 採算が全く合わないため、現代では行われてはいないが、気仙沼地域では今でも砂...

