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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.10―吉田(現在の豊橋)から日坂までの旅―横山 実
1、3月31日(日)―吉田からの出発 シーボルトは、3月30日の夜に吉田宿に到着したので、吉田をほとんど見ていません。 図10-1.東海道五十三駅道中記細見双六で描かれた吉田 広重が画いた東海道五十三駅道中記細見双六((以下においては、「双六」と略称します)での吉田の絵では、豊川に架かる豊川橋の向こう側に城が描かれています。吉田城は、天正18(1590)年に豊臣秀吉の命令で家康が関東に転封された後、池田照政(輝政)が城主となっています。彼は、城の拡張や城下町の整備を行いましたので、吉田城... -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.9―桑名から吉田(現在の豊橋)までの旅―横山 実
1.3月28日(火)―桑名からの午後の出発 シーボルトは、11時頃に桑名の城外の町に到着して、「鐘の鋳造や、その他の鉄製品を見物」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)72頁。以下、この本は、『日記』と略記します)しています。徳川四天王の一人であった本多忠勝は、慶長6(1601)年に桑名の初代藩主になり、桑名の町を改造するために、大胆な町割りを行いました。その時、鋳物師を招き入れたので、桑名では鋳物業が勃興したのです。 その後、シーポルトは、若い... -
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一枚の写真「夏の記憶」・・太宰 宏恵
セミの声が聴こえてくると、子供の頃に、初めてセミの「脱け殻」を見つけた時の驚きを思い出します。 独特の形と素材感、孵化の後、残されていくきれいな殻を不思議な気持ちで見つめていました。 セミの命は一週間程と言われていますが、それに反して脱け殻は、朽ちることなく、生きていた証のように長い時間、地上に残されていきます。 魂がたとえ抜けてしまっても美しいもの。 完璧な自然の造形への憧れは、この頃に私の中に生まれたのかもしれません。 -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.8 ―石部から桑名までの旅―横山 実
1.3月26日(日)―ひと休みした石部からの出発 シーボルトは、石部の宿で少し休んだのち、「横田村の付近でアラ川・・を渡った。・・この川岸の村の手前には、金毘羅を祭って建てた巨大な灯明台で、石灯籠というもの」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)68頁。以下、この本は、『日記』と略記します)がありました。 琵琶湖に注ぐ野洲川の源流の一つである横田川の渡しは、東海道の交通量が増えたので、夜間も運行されるようになりました。そこで、文政5(1822)... -
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一枚の写真 「蓮に思う」・・太宰 宏恵
蒸し暑くなるこの時期、私は、美麗な蓮の花と、水辺で大きく風にゆれる葉に出会うと救われます。 決して気温は変わりませんが、眺めていると、緑と桃色や紫、黄色のグラデーションが、心を涼やかにしてくれるように感じるからです。 そうとはいえ、高温注意報が発令される中、止まらない汗と戦いながらの撮影は、蓮の花にくすくすと、笑われているように思いました。 暑い夏は、やっぱり室内冷房が一番ですね。 -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.7 ―京都から石部までの旅―横山 実―
1.3月25日(土)―京都からの出発 シーボルトは、「12時に険悪な天候をついて京都を発ち、四条を渡」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)64頁。以下、この本は、『日記』と略記します)ったのです。 歌川広重は、「東海道五拾三次之内」シリーズで、江戸から順番に東海道の宿場を画きましたが、その終点は、京師(「京師」は皇帝の都を意味しますので、日本では「京都」がそれに該当したのです)の三条大橋でした。保永堂は、シーボルトが参府した8年後の天保5年... -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.6 ―大阪から京都までの旅―横山 実―
1.3月17日(金)―大阪からの出発 8時頃に、難波橋(現在の地下鉄「北浜駅」の近くの通称ライオン橋)近くの長崎屋を出発して、1時間ほど北に向かって町の中を進んでいます。そこで「ちょうど刑場に引かれてゆく犯罪人に出会」っています。(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)58頁。以下、この本は、『日記』と略記します)大坂には、千日刑場、鳶田(飛田)刑場、野江刑場、三軒家刑場がありました。野江刑場は、高麗橋から約一里程の東成郡野江村の京街道に面した... -
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一枚の写真 「宝物」・・太宰 宏恵
私の中での紫陽花は、背の高い木々や他の植物の影の中で咲いているイメージが有ります。時々風に揺られ、丸い紫陽花にポッと、強い光が落ちてくると、辺り一体が大切にしている宝物を、ほんの一瞬だけ見せてくれているような気持ちになるのです。少しの間、そんな場面に触れ、私の中にも大きな花が咲いたように、心が満たされていきました。まだまだ咲き始めの紫陽花。今年はどんな色や形のものに出会えるのか、楽しみでなりません。 -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.5 ―室から大阪までの旅―横山 実―
1.3月9日(木)―室からの出発 朝、室の宿を発ち、「すぐうしろにある険しい山を越え、われわれは、駕籠にとって難儀な谷へくだる道を運ばれて行った」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)42頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。山の麓では、「人力でかちとった耕地が拓かれていたが、その綿密さは、どんなにほめてもほめたりない位である。細い床は、畝と畝との間を深い溝で分け、そこにコムギ・ナタネ・ハトマメ・シロエンドウ・カラシが、そして... -
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Fashionable 湖龍斎 多彩な浮世絵展 −横山實コレクションより 6月25日(火)〜30日(日)
長唄と謡の空間に置いて 磯田湖龍斎展@下北沢 入場無料会 期:6月25日(火)〜30日(日)11時〜19時 ※最終日は17時閉場会 場:武蔵屋画廊 世田谷区北沢2-32-8 その他の詳細、お問合せ先は下のPDFをご覧ください。 20240625ダウンロード