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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(14)「海のミルク・カキ」
気仙沼市唐桑町地区の穏やかな湾内に並ぶカキの養殖筏 食欲の秋ー。日本は、海に囲まれ、緑の山野が広がる豊かな自然に恵まれている。しかも四季があり、旬の味覚を楽しむことができる。 気仙沼でも秋は、美味しい物の列挙に暇がない。まずは脂の乗った戻りガツオ。そしてサンマ。最近は暖流の勢力が強いため漁場も遠く、水揚げはかつてにくらべれれば芳しくないサンマ。しかも小ぶりなものが主体で「今は昔」的な存在なのが悲しい。真打はカキ。プリップリのカキは冬を越して来春まで、その美味を堪能できる三... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(13)室根神社と港まち・気仙沼
気仙沼湾内の漁港から室根山を遠望する。天気はまさに「雲居」だ。 「遠くは雲居(くもい)の室根山(むろねさん)」。 公立高校が長く男女別学だった宮城県。女子の鼎が浦高と2005年に合併するまでの旧気仙沼高は我が母校。冒頭に記したのは、当時の校歌の歌い出し部分だ。当地方の最高峰、海抜895mの室根山が、雲をまといそびえるさまを歌っている。しかし室根山は、岩手県一関市室根町(旧岩手県室根村)に位置する。宮城の県立高の校歌の冒頭に、他県の山が歌われていた。しかし、そのことへの異論は耳... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(12)気仙沼ホルモン
*写真は、ホルモンを焼きつつ、ビールを飲む至福の瞬間。撮影場所は「お福」店内。 俗に言う「ご当地・B級グルメ」。 気仙沼では、脂の乗った戻りガツオ、塩焼きサンマ、全ての味覚を堪能できるホヤ、秋以降に旨みを増すカキ、メカジキ…などなどの豊富な魚介類、さらには隠れた名産であるマツタケ、きれいな水が育む酒米から造られる地酒、あっ!忘れてはいけないフカヒレなどなど枚挙に暇がないA級グルメが盛りだくさん。 そんな大谷翔平選手クラスの名グルメに対して、気仙沼人にとって愛してやまない肉料... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(11)気仙沼とフェンシング
凱旋パレードに臨むロンドン五輪フェンシング日本代表メンバーら。左から2番目に当時の千田選手、1人おいて菅原選手=2012年8月12日、気仙沼市田中前 佐藤紀生撮影 2024年、フランス開催のパリオリンピック。今回も日本人選手はフェアプレーに徹し、懸命な戦いを繰り広げた。その中には、金2個を含む5個のメダルを獲得したフェンシング日本代表の躍進も含まれる。しかも男子個人エペ、同団体フルーレでは共に初の金メダル。男子団体エペで銀メダル、さらに女子はフルーレ、サーブルの団体で初の銅メダル獲得と... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑩ 夏の旬・カツオとホヤ
気仙沼の夏の食卓の定番、カツオの刺し身とホヤ酢 気仙沼港を代表する魚を一つ挙げるとするならば、それは何と言ってもカツオになる。カツオと言うと、高知県や鹿児島県をイメージする人が多いと思う。カツオのたたき、カツオ節など代表的な食文化を持ち、それは全国区で浸透している。 しかし生鮮カツオの水揚げ日本一となると、それは気仙沼港になる。昨年で27年連続となり、今年も「戻りガツオ」シーズンとなる秋を待たずしてライバルの千葉県勝浦港に肉薄。追い越すのはもはや確実な状況だ。 カツオは黒... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑨・ツツジに包まれる徳仙丈山
「つつじ街道」手前、満開のツツジを歩く 50万本ものツツジが自生する気仙沼市の徳仙丈(とくせんじょう)山。5月中旬から下旬というわずかな期間ではあるが、全山が真っ赤に彩られる。その鮮やかさに加え、天気のいい日はそこかしこからツツジ越しに気仙沼湾を遠望できる。その景観もまた乙なものがある。 リアス海岸ゆえに、海と山は近い。徳仙丈山の標高は711m。7合目にある山道入り口(標高511m)まで車で行ける。内湾で潮風を浴びた後、30分もかからず森林浴ができる山懐深い場所へと移動できる。気仙沼... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑧・鳴り砂の浜
気仙沼市には、2つの鳴り砂の浜辺がある。文字通り、歩くたびに「キュッ、キュッ」と小気味いい音が出る。 本当に音が出て、どんな音なのか?まずは短い動画を添付したので、それを確かめてから、以下の文章を読んでいただければ幸いだ。 底がなるべく平たく、革靴のように硬めで滑らかなほど音が出やすい。さらに、砂を踏むというより、すり足に近い方が、砂がよく鳴る。 撮影した日は、1年前のちょうど今頃。数日間、雨がなく、当日も乾燥注意報が出ていたほどで、砂が乾いた状態であればあるほど、機嫌... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑦・怪物金と日露戦争
「鹿折金山跡地を流れる沢にある源氏の滝」 「あっ、これって?」 平な黒塗りのお椀の底に、キラリと光る小さな黄金色があった。大きさは2mm四方ほど。それは砂金。今から10年以上前になるが、気仙沼市北部にある鹿折(ししおり)金山跡地を流れる小川で行った体験講座を取材した際、私も挑戦。川砂を掬い、水をゆっくりと流す作業を繰り返すことわずか10分ほど。小粒以下の物とはいえ、黄金の輝きを手に入れることができた。 採算が全く合わないため、現代では行われてはいないが、気仙沼地域では今でも砂... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑥・リアスの方舟
リアス・アーク美術館 被災したモノたちの展示。このコーナーは自由に写真撮影ができる 「いただきます」「ごちそうさま」…。「いってきます」「ただいま」…。 そうした日常の会話が、聞こえてきそうだ。しかし、目の前にあるのは、2011年3月11日に気仙沼地方を襲った大津波により被災し、私たちの生活を支えていた「物」から、本来の使用ができない「がれき」へと化した「モノ」たちだ。 気仙沼市にあるリアス・アーク美術館の常設展示「東日本の記録と津波の災害史」には、美術館の学芸員らが約2年間にわた... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑤・港まち・気仙沼
港町・気仙沼を代表する光景の一つに挙げるのが、岸壁を埋め尽くす漁船だ。 船の着岸といえば、岸壁に横着けするのを頭に思い浮かべると思う。気仙沼港でもイカ釣りや定置網など小型〜中型船は横着けしている。 ただ、こう言うと「あれ?漁船って、縦着けじゃないの?」と異論も聞こえてきそうだ。確かに、沿岸漁を主とする、いわば「浜」の岸壁には、船外機付き小船をはじめ、縦着けが多い場合もある。理由は簡単で、縦着けの方が、場所を取らないからだ。 しかし気仙沼魚市場の桟橋や内湾の一部などでは、...
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