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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(23)・「氷の水族館」
気仙沼市 「氷の水族館」 *現在の展示とは異なります。 気仙沼にはユニークな水族館がある。それは「氷の水族館」。マイナス20度という冷凍庫の中に、氷の中を「泳ぐ」魚が展示されている。全国有数の漁港である気仙沼。その気仙沼魚市場に水揚げされるサンマやカツオ、マダコ、沿岸漁でとれるカサゴやキンメダイなどなど約40種類700匹の魚が、列を成して「泳ぐ」。その姿が高度な技術で作られた透明度の高い氷の中に封印されている。世界でも珍しい、生きた魚のいない水族館だ。 気仙沼にこの「氷の... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(22)・道の駅「大谷海岸」
気仙沼市の南の表玄関とも言えるのが、道の駅・大谷(おおや)海岸。気仙沼市本吉町にあり、三陸縦貫道の「大谷海岸インターチェンジ(IC)」を降りて、わずか500m北に進むだけなので所要時間は3分と掛からない。しかも三陸縦貫道の石巻市以北は、東日本大震災の復興道路として整備されたため、無料区間となっており、事実上、三陸道に併設されている施設とも言える。乗り降り自由なので、寄り道しやすい。 ポールの先には「マンボウ」図柄の看板がある。道の駅・大谷海岸、その目の前に広がる大谷海水浴場... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(21)「風待ちの街」
気仙沼の顔と称される気仙沼湾の最奥部。「内湾地区」と呼ぶ、その一帯は気仙沼市の「へそ」とも言える場所だ。 東日本大震災前は、離島であった大島とを結ぶ定期航路の汽船やフェリーの発着所があり、背後には気仙沼の中心市街を抱えていた。天然の良港として知られる波穏やかな入江は、リアス海岸特有の折りたたんだ海岸線の行き止まりにある。 昭和31年、内湾の入り口よりやや外側にある現在地に移転するまでは一番奥に気仙沼魚市場があり、まさに「港まち・気仙沼」の中核を形成していた。 震災後は、... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(20)「大理石海岸」
海の庭園ともいえる大理石海岸の景観 気仙沼市の景勝地の中には、今から約2億8千万年前の古生代ペルム紀に生成された石灰岩および、その後の火山活動によって火成岩が入り込み、熱によって大理石となった地層が織りなす地形がある。 潮吹岩で知られる「岩井崎」をはじめ、唐桑半島随一の観光地である「巨釜・半造(おがま・はんぞう)」などが代表的だ。 白く輝く大理石と、浸食などにより黒っぽく変色した石灰岩との対比と、自然が「彫刻」した景観が、青い海と空との見事なコントラストを描く。 その中で... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(19)「気仙沼の発電所」
木質バイオマス発電・発熱プラント 気仙沼市には発電所がある。「発電所」は大げさかもしれないが、発電施設には間違いがない。 しかも全国でも珍しい「木質バイオマス発電」施設だ。 バイオマスとは、石油などの化石燃料を除く、動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源を表す言葉であり、木質ということは、森林の間伐材や製材端材や木質チップなどを材料にする。 発電方法には、木質バイオマスを直接燃焼させて、発電させる「蒸気タービン方式」もあるが、気仙沼市にある施設は木質バイオマスをガス化... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(18)「気仙沼市復興祈念公園」
気仙沼湾を見下ろす、海抜60mの小高い丘。気仙沼市陣山(じんやま)に、2021年3月11日に開園した「気仙沼市復興祈念公園」。 東日本大震災から丸10年。大方の復興を終えつつあった、まさに節目の日に「祈り」のモニュメントは生まれた。 最も高い場所にあるのが、「祈りの帆(セイル)」。船体に使用されるアルミ鋼材で出来ている。高さは10m。船の帆と合掌する両手を模した。飾りっ気のない白い空間の中に入ると、透明なアクリル板の献花台があり、祈る「両手」「帆」の間から、気仙沼湾を望む... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(17)「恵比寿像と浮見堂」
気仙沼湾の最奥に位置する内湾。古くから「鼎(かなえ)が浦」の呼び名がある。 「鼎」とは三本の脚を持つ鉄製の釜を指す。よく3人による対談を「鼎談」と称するのは、これに由来する。 気仙沼内湾の三本の脚となる岬。最も南に位置する「蜂ヶ崎(はちがさき)」。三陸道気仙沼湾横断橋の北側にある。 柏崎(かしざき)は、石灰岩の崖が湾に突き出しており、気仙沼プラザホテルが建つ。最近、全国放送でも「気仙沼湾と横断橋、その先にある大島」という景観が、天気予報のコーナーに登場することが増えたが、... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(16)「ふるさと納税」
気仙沼市ふるさと納税公式サイトhttps://kesennuma.furusato-nozei.jp/ 気仙沼市に寄せられた2024年度の「ふるさと納税」の寄付額が昨年末で既に100億円の大台を大きく超え、112億7000円に達したことを市は明らかにした。前年度(2023年度)、東北で最多を記録した94億円から更に上積みをし、初の100億円台に乗せた。本年度の「東北一」連覇も見えてきた。 4年前の20年度には4億円だった気仙沼市への「ふるさと納税」寄付額は、21年度に14億円、22年度に49億円、前年度の94億円と倍々ペースで増加してきた。前... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(15)「気仙沼湾横断橋」
気仙沼湾横断橋をくぐり、魚市場を目指す漁船 東日本大震災からの復興シンボルとして整備が進められた三陸縦貫自動車道は、今から3年前の2021年12月18日に全線が開通した。宮城の県都・仙台市から、被災した石巻市、南三陸町、そして我が気仙沼市を経て、岩手県では「奇跡の一本松」、昨今では大リーグを目指す「令和の完全試合男」、佐々木朗希投手の出身地である陸前高田市、鉄の町として名を馳せた釜石市、宮古市と北上し、青森県の雄都である八戸市を結ぶ全長359kmの自動車専用道だ。 その中でも、よりシン... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(14)「海のミルク・カキ」
気仙沼市唐桑町地区の穏やかな湾内に並ぶカキの養殖筏 食欲の秋ー。日本は、海に囲まれ、緑の山野が広がる豊かな自然に恵まれている。しかも四季があり、旬の味覚を楽しむことができる。 気仙沼でも秋は、美味しい物の列挙に暇がない。まずは脂の乗った戻りガツオ。そしてサンマ。最近は暖流の勢力が強いため漁場も遠く、水揚げはかつてにくらべれれば芳しくないサンマ。しかも小ぶりなものが主体で「今は昔」的な存在なのが悲しい。真打はカキ。プリップリのカキは冬を越して来春まで、その美味を堪能できる三...