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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.15 ―小田原から藤沢までの旅― 横山 実
1.4月8日(土)―小田原からの出発 シーボルトは、朝、小田原を出発しています。小田原は、「かなり大きな町で、入り口と出口に門と番所があり、店は少ないー娼家が多く、中から朝のふしだらな衣裳をまとった女たちがわれわれに秋波を送っていた」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)98頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。 図15-1.東海道五十三駅道中記細見双六で描かれた小田原 広重が画いた東海道五十三駅道中記細見双六(以下においては、「... -
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一枚の写真「師走の紅葉」・・太宰 宏恵
温かな日が続いている今年の冬。本来ならばすっかり終わっているはずの紅葉に、かなりのズレが見られるように思います。単に木々の種類によるものだけでなく、例年に比べて個々のペースや環境、地域によっても、随分違いや遅れがあるように感じています。 そんな中、師走にやっと色づいてきた紅葉が目に入りました。優しい光に照らされて、ゆっくりと変化していく色彩と共に、穏やかな冬を楽しんでいるようにも見えました。 ご挨拶には少々早い気もいたしますが、皆さま、どうぞ良い年をお迎えくださいませ。 -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.14 ―沼津から小田原までの旅― 横山 実
1.4月7日(金)―沼津からの出発 シーボルトは、ビュルガーとともに、箱根に行く準備のために、4時頃に出立の準備にとりかかっています。夜明けとともに宿を出ましたが、間もなく朝日が昇ってきました。三島村の近くで「私は、意を決してビュルガー・・とともに乗物をおり、必要な器具を携えて急いで先行した」(シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)94頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。三島村では、大明神という神社を見ています。 図14-1.東海道... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(14)「海のミルク・カキ」
気仙沼市唐桑町地区の穏やかな湾内に並ぶカキの養殖筏 食欲の秋ー。日本は、海に囲まれ、緑の山野が広がる豊かな自然に恵まれている。しかも四季があり、旬の味覚を楽しむことができる。 気仙沼でも秋は、美味しい物の列挙に暇がない。まずは脂の乗った戻りガツオ。そしてサンマ。最近は暖流の勢力が強いため漁場も遠く、水揚げはかつてにくらべれれば芳しくないサンマ。しかも小ぶりなものが主体で「今は昔」的な存在なのが悲しい。真打はカキ。プリップリのカキは冬を越して来春まで、その美味を堪能できる三... -
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【連載】写真短歌(11)・・川喜田 晶子
往く雲のほつれて空となるごとく わが身の端の何処(どこ)からか君 川喜田晶子 形あるものがその形を喪うさまを見守るのは、とても心細いものですが、同時に、その心細さを心強さに変換し、執着を超えさせようとする、なにものかの意思に背中を押されているような気もいたします。いつの間にか空となる雲の在りように見とれながら、〈呼吸〉を整えています。 -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.13―蒲原から沼津までの旅―横山 実
1.4月5日(水)―蒲原での滞在 図13-1.東海道五十三對 蒲原乃駅 保永堂版の広重の「東海道五拾三次之内」シリーズが、大ヒットしたので、版元は競って趣向を凝らした東海道五十三次物を出版するようになりました。歌川国貞(後の三代豊国)が画いた「東海道五十三次之内(通称・美人東海道)」では、東海道の宿の風景と美人がとりあわせて画かれました。また、役者絵を見立てた「見立役者 東海道五十三對之内」も出版されています。そのような流れの中で、天保15(1844)年から弘化4(1847)年にかけで出版... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(13)室根神社と港まち・気仙沼
気仙沼湾内の漁港から室根山を遠望する。天気はまさに「雲居」だ。 「遠くは雲居(くもい)の室根山(むろねさん)」。 公立高校が長く男女別学だった宮城県。女子の鼎が浦高と2005年に合併するまでの旧気仙沼高は我が母校。冒頭に記したのは、当時の校歌の歌い出し部分だ。当地方の最高峰、海抜895mの室根山が、雲をまといそびえるさまを歌っている。しかし室根山は、岩手県一関市室根町(旧岩手県室根村)に位置する。宮城の県立高の校歌の冒頭に、他県の山が歌われていた。しかし、そのことへの異論は耳... -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.12―府中(現在の静岡)から蒲原までの旅―横山 実
1.4月4日(火)―府中(静岡)からの出発 シーボルトは、激しい雨の中、府中を出立しましたが、まもなく数軒の小さな店に気付いています。「家々には十二羽あるいはもっと多くのウズラを入れた小さい鳥籠が掛っているのが、よく目についた。この鳥は、ここから余所の地方に広く売られていて、啼き声の良し悪しによって小判一枚ないし二枚の値段がする」((シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)87―88頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。シーボルトは、... -
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【連載】写真短歌(10)・・川喜田 晶子
「ただいま」と「はじめまして」の等しさをくちうつされて秋は来にけり川喜田 晶子 萩の枝先に舞い降りた蝶は、「ただいま」と言っているのでしょうか。それとも「はじめまして」と言っているのでしょうか。萩は去年の萩ではなく、蝶も去年の蝶ではないはずですが、そこには、不思議な約束の匂いがして、間違えずにこの枝に舞い降りたのだ、という確かな気配が漂っています。絶対的な懐かしさと新鮮さ。その融合の相を見誤らないことこそが、生きる上でなにごとかなのだとおもわれます。「おかえり」。そして「は... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(12)気仙沼ホルモン
*写真は、ホルモンを焼きつつ、ビールを飲む至福の瞬間。撮影場所は「お福」店内。 俗に言う「ご当地・B級グルメ」。 気仙沼では、脂の乗った戻りガツオ、塩焼きサンマ、全ての味覚を堪能できるホヤ、秋以降に旨みを増すカキ、メカジキ…などなどの豊富な魚介類、さらには隠れた名産であるマツタケ、きれいな水が育む酒米から造られる地酒、あっ!忘れてはいけないフカヒレなどなど枚挙に暇がないA級グルメが盛りだくさん。 そんな大谷翔平選手クラスの名グルメに対して、気仙沼人にとって愛してやまない肉料...