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【連載】一枚の写真「わくらば」・・太宰 宏恵
病の葉と書いて「わくらば。」人によりお好みはあるとは思うのですが、私は、こうした葉を見つけると、嬉しくなってしまうタイプの人間です。 昔から日本人のある一定数、「わくらば好き」が存在していたと思っています。その証拠に、加賀友禅では敢えてわくらばが着物の意匠に登場しますし、江戸以前の絵や工芸品の中でも、虫に食べられた葉や、枯れた植物などが、とても丁寧に表現されていることがあります。時間や環境によって変化した自然の様子を愛で、大切に思う日本文化の表れのひとつだ、とも言えるのかも... -
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【連載】写真短歌(32)・・川喜田 晶子
この地球(ほし)と通りすがりの蜻蛉(せいれい)と黙して触れて祈り合ひてをり川喜田 晶子 蜻蛉が地に脚を触れる瞬間というのはとてもやわらかく、まるで重力など存在しないかのよう。なにか別の力で惹き付け合った結果の着地、かもしれません。しかも、その一瞬の無音のご挨拶だけで、この地球の重くてはるかな物語と、蜻蛉の透きとおって軽やかないのちの物語とが、互いに共有され尽くすのではないだろうかと思わせるような、それは丁寧な、魂のこもった沈黙の触れ合い、祈り合いのようにも見えます。言葉だけ... -
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ギッチョムの気仙沼だより(35)気仙沼みなとまつり
写真1 海上ねぶた 気仙沼市制施行20周年を記念する「ドローンショー」 ことし2026年で74回目を数えた「気仙沼みなとまつり」は、8月1、2の両日、名前の通り「気仙沼湾」一帯で開かれた。 仙台七夕や秋田竿燈まつりなど、東北を代表する祭りではないが、日本有数の漁港である気仙沼の心意気、活気を感じることができる。気仙沼人にとっては、まさに一年に一度の「ハレ」の日であり、大人にとってももちろんだが、あのワクワクする祭りの雰囲気と楽しさは、気仙沼っ子にとって、時を超えて心の奥底に... -
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【連載】一枚の写真「一本の木」・・太宰 宏恵
酷暑の今夏、外に出ている人も少なそうなお昼時なら、静かにあの木に会えるかもしれないと、カメラ片手に訪れてみることにしました。 神社の裏手にあるこの御神木は、大切に守られて結界が張られ、大人二人が両手でぐるっと抱き抱えたとしても、お互いの手が届くかどうか?というくらいの太さです。樹齢は、600〜700年。 深い木陰の中で、根元だけが光を受けていたので、様子が変わってしまう前にと、急いでシャッターを切りながら木の周りをぐるぐるしているうちに、いつの間にか心が静かになっていること... -
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【連載】写真短歌(31)・・川喜田 晶子
人の生(よ)の次々々の次の生の約束が白く佇んでをり川喜田 晶子 道端に咲く、雑草としてひとくくりにされてしまいそうな、小さな小さな白い花の群れの、その中の一つと目が合う。この「目が合う」という現象は、因果関係では説明ができず、偶然として片付けることもできない、宙ぶらりんの意味を漂わせて、しばしば私たちの生活のあちらこちらを彩ります。それは、幾つも先の生の、とらえどころがないけれども確かなお約束からの、ちょっとした挨拶のようなものかもしれません。あまりにも小さな花の姿をとって... -
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ギッチョムの気仙沼だより(34)亀山モノレール
メインテラスから。唐桑半島方面(東)から市街地方面(北)へ=2026年7月30日撮影 メインテラス」からの眺望。*気仙沼観光コンベンション協会のサイトから 亀山モノレール*気仙沼観光コンベンション協会のサイトから ここ「きらめきぷらす」で、掲載を始めた「ギッチョムの気仙沼だより」。第1回は2023年12月。その時の話題が「大島の亀山にモノレール」だった。 あれから2年7カ月。2026年7月19日、気仙沼市が「東日本大震災からの復興の仕上げ事業」と位置付けていた、そのモノレールが開... -
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【連載】一枚の写真「雨の憂鬱」・・太宰 宏恵
雨の降る日は、ずっと苦手でした。髪の毛がまとまらないし、湿度がまとわりついて、空気すら重たく感じてしまう。「憂鬱。」そんなイメージが拭えず、梅雨に入ったばかりのある日、窓から雨の景色を眺めていると、「きれい。」という言葉が自然に湧き上がりました。 細かな雨が景色全体を包み込み、ベールの向こう側にぼんやり見える自然が、静かに揺れている。「柔らかで、なんてきれいなんだろう。」 雨が上がって植物に近づくと、ベールのようだった雨が、それぞれの植物の上で雫となり、小さく輝きながら、ま... -
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【連載】写真短歌(30)・・川喜田 晶子
あぢさゐといふ名の湖(うみ)の底の底 沈めて千年(ちとせ)のわが心かな川喜田 晶子 自分の心とはいえ、とてつもなく広いその場所の全てを知っているわけではなく、おそらく人は、その一割ほどを自覚し、残り九割とは、曖昧であったり想定外であったりの出逢い方をしながら、この世を旅してゆくのでしょう。「残り九割」との出逢いの中には、「おお、千年ぶり」といった類いの衝撃的なものもあるのかもしれません。 -
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ギッチョムの気仙沼だより(33)気仙沼偉人伝1北辰一刀流・千葉周作(2026/07/02追記)
「ちょこざいな小僧め!名を、名を名乗れ!」というセリフは、私たち昭和に生まれた男子にとっては、耳にこびりついている。 昭和30年代生まれの私にとってはテレビアニメで知ったし、それ以前、ラジオドラマで放送された際から始まったとされる。 その「小僧」が「赤胴鈴之助だっ!」と叫び返す、このやりとりがタイトルコールとなり、「剣をとっては日本一に、夢は大きな少年剣士~」という主題歌が流れる。 原作は1954~1960年に漫画雑誌「少年画報」に連載された「赤胴鈴之助」。 ストーリー... -
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【連載】一枚の写真「風薫る頃」・・太宰 宏恵
日差しが強さを増す季節、木陰に入ると心地よく、爽やかな風が吹き抜けていきます。 目的もなく、自然の中に身を置いて、そこに息づく小さな営みをぼんやりと眺めるのが、愉しみです。 風の運んで来る香、若葉の合間から溢れる光と、地面に落ちる影の模様。高い木々からすっと、差し込む光。苗の揺れる水田に映り込む、流れる雲、忙しそうに群で移動する蟻の列と、遠くに響く鳥の声。 全てが輝きをまとって、私の目の前に現れます。 情報でいっぱいのデジタル画面から目を外した先には、今しか出会えない豊かな風...
