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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(19)「気仙沼の発電所」
木質バイオマス発電・発熱プラント 気仙沼市には発電所がある。「発電所」は大げさかもしれないが、発電施設には間違いがない。 しかも全国でも珍しい「木質バイオマス発電」施設だ。 バイオマスとは、石油などの化石燃料を除く、動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源を表す言葉であり、木質ということは、森林の間伐材や製材端材や木質チップなどを材料にする。 発電方法には、木質バイオマスを直接燃焼させて、発電させる「蒸気タービン方式」もあるが、気仙沼市にある施設は木質バイオマスをガス化... -
一枚の写真「春の光に」・・太宰 宏恵
突然気温が上がり、桜も一気に開花してしまいました。桜の写真を。。。。と、外へ出て撮影したものの、皆様にお届けしたいと思えるほどのクオリティに達せず、断念。 そんな中、ふと、現れた白椿。 ポツポツと、穴の空いた花びらが、春の光を通して輝いている。そんな姿が一際美しく見え、今月の一枚といたしました。 春の優しい空気感が、届きますように。 太宰 宏恵 -
【連載】写真短歌(16)・・川喜田 晶子
北向きの心に君は棲みつきて鳥のかたちに身をととのへて川喜田 晶子 定住を好む農耕民タイプか、旅を好む漂泊民タイプか。人それぞれではありましょうが、定住を好む者の心にも異郷への憧れはあり、旅を好む者の心にも定住という安らぎへの渇きは潜んでいるでしょう。渡り鳥たちが北へ旅立つ季節。彼らの旅にも、彼らの留守を過ごす湖にも、どうか幸のありますように。 -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(18)「気仙沼市復興祈念公園」
気仙沼湾を見下ろす、海抜60mの小高い丘。気仙沼市陣山(じんやま)に、2021年3月11日に開園した「気仙沼市復興祈念公園」。 東日本大震災から丸10年。大方の復興を終えつつあった、まさに節目の日に「祈り」のモニュメントは生まれた。 最も高い場所にあるのが、「祈りの帆(セイル)」。船体に使用されるアルミ鋼材で出来ている。高さは10m。船の帆と合掌する両手を模した。飾りっ気のない白い空間の中に入ると、透明なアクリル板の献花台があり、祈る「両手」「帆」の間から、気仙沼湾を望む... -
【連載】写真短歌(15)・・川喜田 晶子
花びらと闇のあはひに湧く酒の熟すがごとく人の恋しき川喜田 晶子 人の予定などおかまいなしに、〈恋〉は、人生に幾度か降りかかって来ます。〈恋〉というものに魂をわしづかみにされることで、人は、己れで己れを統御し切ることなど不可能なのだと学習し、世界観を更新し、とびきりの酒のようにおもむろに熟してゆくものなのかもしれません。桃の花を見ていると、そこには童女のようなあどけなさと成熟した女性の「思いのたけ」とが同居しているような気がして、美味しいお酒が呑みたくなってまいります。 -
一枚の写真「ましろ」・・太宰 宏恵
梅の香が漂い、鳥のさえずりが賑やかになってまいりました。 そんな合間の雪予報に、きゅっと肩に力が入る日、冷たい空気を感じながら、カメラを手に取りました。 光の射さないそんな日は、本来望ましい写真は撮りにくいものです。 強い光の無い平らにも思われる場面が、かえってその日の私には、純粋な白の重なり合う厚みのある世界に見え、白い空へと向かっていく白梅にすっとする気持ちがいたしました。 太宰 宏恵 -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(17)「恵比寿像と浮見堂」
気仙沼湾の最奥に位置する内湾。古くから「鼎(かなえ)が浦」の呼び名がある。 「鼎」とは三本の脚を持つ鉄製の釜を指す。よく3人による対談を「鼎談」と称するのは、これに由来する。 気仙沼内湾の三本の脚となる岬。最も南に位置する「蜂ヶ崎(はちがさき)」。三陸道気仙沼湾横断橋の北側にある。 柏崎(かしざき)は、石灰岩の崖が湾に突き出しており、気仙沼プラザホテルが建つ。最近、全国放送でも「気仙沼湾と横断橋、その先にある大島」という景観が、天気予報のコーナーに登場することが増えたが、... -
【連載】写真短歌(14)・・川喜田 晶子
八百万(やほよろづ)の枝々に わが鱗(うろくづ)のひとひら しんと隠されてをり川喜田晶子 生まれる前だったか、生まれてから目が開くまでの間だったか、この天地に散らばってしまった自分の〈鱗〉は、風景の中に上手に隠されていて、今生におけるその〈鱗〉との再会が、〈詩〉というものなのではないかと思っています。ひとひらひとひら、丁寧に出逢い直したいものです。 -
一枚の写真「水仙と幸せと」・・太宰 宏恵
冷たく澄んだ空気の中、水仙たちが寄り添って咲いています。レンズを向けると、少し恥ずかしそうに葉の間から顔を覗かせ、時々こちらを確認するような姿が可愛らしくて、思わず写真を撮りました。 私にはそう見えているだけで、本当はそんな事実は無いのかもしれないことも、もちろんわかっています。それでも、見たいようにこの世界を見ることで、小さな喜びに溢れ、今日も私は勝手に幸せになるのです。 太宰 宏恵 -
シーボルトの江戸への旅路・横山 実 全17話
横山 実さんの連載「シーボルトの江戸への旅路―東海道五十三次の浮世絵で辿る― 」の全17話をご覧ください。連載期間:令和6年4月〜令和7年1月