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【連載】写真短歌(30)・・川喜田 晶子
あぢさゐといふ名の湖(うみ)の底の底 沈めて千年(ちとせ)のわが心かな川喜田 晶子 自分の心とはいえ、とてつもなく広いその場所の全てを知っているわけではなく、おそらく人は、その一割ほどを自覚し、残り九割とは、曖昧であったり想定外であったりの出逢い方をしながら、この世を旅してゆくのでしょう。「残り九割」との出逢いの中には、「おお、千年ぶり」といった類いの衝撃的なものもあるのかもしれません。 -
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【連載】写真短歌(29)・・川喜田 晶子
謎は謎 わたしはわたし 闇は闇 五月の芯が囁いてをり 川喜田 晶子 〈謎〉は、いつもいつも解き明かされなくてもよいし、〈闇〉は、必ずしも〈光〉に変わらなければならないというものでもないでしょう。〈わたし〉も、おそらくなにかしらの〈答〉に閉じ込められる必要はないはず。〈五月〉という季節には、存在を囲い込もうとする枠組みへの深い闘争心の匂いがします。 -
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【連載】写真短歌(28)・・川喜田 晶子
東雲(しののめ)のうすむらさきの貯涙池の底に射し入るうぐひすの声川喜田 晶子 誰しも身の内に、涙を貯めている池があるかとおもいます。よく泣く人も、泣けない人も、泣かないと決めている人も、その貯涙池があふれそうになったり、波立ったりするのを感じる瞬間はあるはず。夜が明け初める頃、この池に射し入る鶯の声は、涙の深さを、そして透度を、確かめに来ているかのよう。そして、わずかに水面が揺らいで、一日が始まります。 -
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【連載】写真短歌(27)・・川喜田 晶子
樹の梢(うれ)の息吹きと 何処かの哀しみと 誰かの恋と わが言霊と川喜田 晶子 場所や個体が異なっても一斉に芽吹いたり花開いたりする自然界の姿を目にしますと、樹木の梢の一呼吸も、遠い何処かにある哀しみも、見知らぬ誰かの恋情も、祈りを込めて発する己れの言霊も、その個体だけの意思によるものではない、という想いにとらわれます。どんな存在もわれ知らず〈類〉として振る舞っているのかもしれない、と思うことの、切なさと温もりと。芽吹きの季節。そのいのちのカオスには、〈個〉と〈類〉がやるせ... -
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【連載】写真短歌(26)・・川喜田 晶子
過去生の数だけ蕊のあるさうな 梅一輪を労ひて 春 川喜田 晶子 何度目の生を受けて梅となったのやら。咲くという行為は、過去のもろもろの生の中に沁み込んでいた想いや祈りも我知らず引き受けて、この世に解き放つことかも知れない。紅梅さん、おつかれさま。 -
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【連載】写真短歌(25)・・川喜田 晶子
たてがみを風に解かるる夢を見て目覚むれば樹 といふ美しき夢川喜田 晶子 風と一体になる瞬間は心地良いものですが、疾駆する馬としてそれを体感できるならその解放感はいかばかりでしょうか。しかし、そんな夢から覚めた瞬間、自分は大地から離れることのできない樹木である、と気づくとしたら。樹木にとって、それは失望ではなく、やはりひとつの解放かとも思うのです。大地に深く根を張りながら、風とともに躍動する魂を持つことも可能ですし、風の如く駆け抜ける馬もまた、この大地からエネルギーを汲み上げ... -
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【連載】写真短歌(24)・・川喜田 晶子
穂芒と指からめたりほどいたり風に融けたり空焦がれたり川喜田 晶子 この一年、人とどれほど深く触れ合えたでしょうか。その深さが、相手や自分を苦しめないように歪めないように振る舞えたでしょうか。風のような軽やかさに近づけたでしょうか。地に足をつけて空に焦がれもしたでしょうか。どなた様もどうか良いお年をお迎えください。 -
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【連載】写真短歌(23)・・川喜田 晶子
うつし世の手垢のつかぬもみぢ葉の ひとりでもなくふたりでもなく川喜田 晶子 人の目に消費されていないひとひらのもみじ葉をこっそり楽しみました。古びた神社の舞殿で、己れの影と仲睦まじい葉っぱの姿は、他者や社会への気遣いだの自意識だのからはるかに遠く、しみじみと満ち足りておりました。ひとひらの葉っぱではありますが、それは、ひとりとかふたりとか、この世のものさしで数えてはならない輪郭を持ち、軽やかにあたたかく、凜としているのでした。 -
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【連載】写真短歌(22)・・川喜田 晶子
深々と眠る獣のたましひのさやばしるやうに秋は来にけり川喜田 晶子 〈眠り〉が、人の意識よりも無意識と深く繋がっているのなら、私たちは、眠っているあいだにしかできない仕事を、自分でも知らないうちに成し遂げているのかもしれません。あるいは、だれかの魂と、知らないうちに出逢っているのかもしれません。この世界の〈気〉の動きは、私たちの〈眠り〉が司っている、と考えるなら。深まる秋の眠りの中で、今宵は誰と出逢い、何を成し遂げられるでしょうか。 -
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佐藤 紀生さんの本、出版!「港まち記者の卒論」〜「気仙沼人」との泣き笑い見聞録
「ギッチョムの気仙沼だより」を連載中の、佐藤 紀生さんの本、『「港まち記者の卒論」〜「気仙沼人」との泣き笑い見聞録』を出版しました。大手メディアでは伝えきれなかった、気仙沼のあの時と今、そしてこれからを、地元記者ならではの視点で書いていただきました。気仙沼の方、宮城県の方、東北の方はもちろん、全国の方に読んでいただきたい素晴らしい本です。この本の出版に携われたこと、幸せなことだと思っています。 2025年10月10日きらめきぷらす:編集長 細田 Amazonでの購入はこちらから 目次 カツ船...
