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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(18)「気仙沼市復興祈念公園」
気仙沼湾を見下ろす、海抜60mの小高い丘。気仙沼市陣山(じんやま)に、2021年3月11日に開園した「気仙沼市復興祈念公園」。 東日本大震災から丸10年。大方の復興を終えつつあった、まさに節目の日に「祈り」のモニュメントは生まれた。 最も高い場所にあるのが、「祈りの帆(セイル)」。船体に使用されるアルミ鋼材で出来ている。高さは10m。船の帆と合掌する両手を模した。飾りっ気のない白い空間の中に入ると、透明なアクリル板の献花台があり、祈る「両手」「帆」の間から、気仙沼湾を望む... -
【連載】写真短歌(15)・・川喜田 晶子
花びらと闇のあはひに湧く酒の熟すがごとく人の恋しき川喜田 晶子 人の予定などおかまいなしに、〈恋〉は、人生に幾度か降りかかって来ます。〈恋〉というものに魂をわしづかみにされることで、人は、己れで己れを統御し切ることなど不可能なのだと学習し、世界観を更新し、とびきりの酒のようにおもむろに熟してゆくものなのかもしれません。桃の花を見ていると、そこには童女のようなあどけなさと成熟した女性の「思いのたけ」とが同居しているような気がして、美味しいお酒が呑みたくなってまいります。 -
一枚の写真「ましろ」・・太宰 宏恵
梅の香が漂い、鳥のさえずりが賑やかになってまいりました。 そんな合間の雪予報に、きゅっと肩に力が入る日、冷たい空気を感じながら、カメラを手に取りました。 光の射さないそんな日は、本来望ましい写真は撮りにくいものです。 強い光の無い平らにも思われる場面が、かえってその日の私には、純粋な白の重なり合う厚みのある世界に見え、白い空へと向かっていく白梅にすっとする気持ちがいたしました。 太宰 宏恵 -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(17)「恵比寿像と浮見堂」
気仙沼湾の最奥に位置する内湾。古くから「鼎(かなえ)が浦」の呼び名がある。 「鼎」とは三本の脚を持つ鉄製の釜を指す。よく3人による対談を「鼎談」と称するのは、これに由来する。 気仙沼内湾の三本の脚となる岬。最も南に位置する「蜂ヶ崎(はちがさき)」。三陸道気仙沼湾横断橋の北側にある。 柏崎(かしざき)は、石灰岩の崖が湾に突き出しており、気仙沼プラザホテルが建つ。最近、全国放送でも「気仙沼湾と横断橋、その先にある大島」という景観が、天気予報のコーナーに登場することが増えたが、... -
【連載】写真短歌(14)・・川喜田 晶子
八百万(やほよろづ)の枝々に わが鱗(うろくづ)のひとひら しんと隠されてをり川喜田晶子 生まれる前だったか、生まれてから目が開くまでの間だったか、この天地に散らばってしまった自分の〈鱗〉は、風景の中に上手に隠されていて、今生におけるその〈鱗〉との再会が、〈詩〉というものなのではないかと思っています。ひとひらひとひら、丁寧に出逢い直したいものです。 -
一枚の写真「水仙と幸せと」・・太宰 宏恵
冷たく澄んだ空気の中、水仙たちが寄り添って咲いています。レンズを向けると、少し恥ずかしそうに葉の間から顔を覗かせ、時々こちらを確認するような姿が可愛らしくて、思わず写真を撮りました。 私にはそう見えているだけで、本当はそんな事実は無いのかもしれないことも、もちろんわかっています。それでも、見たいようにこの世界を見ることで、小さな喜びに溢れ、今日も私は勝手に幸せになるのです。 太宰 宏恵 -
シーボルトの江戸への旅路・横山 実 全17話
横山 実さんの連載「シーボルトの江戸への旅路―東海道五十三次の浮世絵で辿る― 」の全17話をご覧ください。連載期間:令和6年4月〜令和7年1月 -
【連載】写真短歌(13)・・川喜田 晶子
翼といふ問ひに命を与ふべく湖(うみ)に呼吸をなじませてをり川喜田晶子 〈翼〉のイメージは、いつも私たち人間に、ひとつの問いを投げかけているように思われます。「現実をどのように超えますか?」という永遠の問い。超えるとはどういうことで、どのような力によってそれが可能となるのか。飽きもせずそのようなことを考えながら、この一年も生きてゆくことになりそうです。 -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(16)「ふるさと納税」
気仙沼市ふるさと納税公式サイトhttps://kesennuma.furusato-nozei.jp/ 気仙沼市に寄せられた2024年度の「ふるさと納税」の寄付額が昨年末で既に100億円の大台を大きく超え、112億7000円に達したことを市は明らかにした。前年度(2023年度)、東北で最多を記録した94億円から更に上積みをし、初の100億円台に乗せた。本年度の「東北一」連覇も見えてきた。 4年前の20年度には4億円だった気仙沼市への「ふるさと納税」寄付額は、21年度に14億円、22年度に49億円、前年度の94億円と倍々ペースで増加してきた。前... -
一枚の写真「光・新年に」・・太宰 宏恵
新しい年を迎えました。 節目ではありますが、いつもと変わらない日常も大切にしたい気持ちもあり、変わり映えの無い、普段の景色からの一枚を選びました。 枯葉にあたたかな光が通り、それが夕方に点灯した街灯のようで、見ていると、何故かとても救われた気持ちになりました。 「一枚の写真」は、毎月、私という小さな人間が、狭い生活範囲の中で見つけたり、出会った景色をご紹介しているわけですが、今年の視点はもう一回り、狭く小さなものになるかもしれません。 そんな写真にお付き合いくださる皆さま、い...