【連載】写真短歌(10)・・川喜田 晶子

「ただいま」と「はじめまして」の等しさをくちうつされて秋は来にけり
川喜田 晶子

萩の枝先に舞い降りた蝶は、「ただいま」と言っているのでしょうか。それとも「はじめまして」と言っているのでしょうか。
萩は去年の萩ではなく、蝶も去年の蝶ではないはずですが、そこには、不思議な約束の匂いがして、間違えずにこの枝に舞い降りたのだ、という確かな気配が漂っています。
絶対的な懐かしさと新鮮さ。その融合の相を見誤らないことこそが、生きる上でなにごとかなのだとおもわれます。
「おかえり」。
そして「はじめまして」。

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