
今回は、まさに「私事」について書く。
このブログを主宰している細田利之さんが経営する株式会社「エン」の出版事業部から「港まち記者の卒論〜『気仙沼人』との泣き笑い見聞録」を10月9日、出版した。無名以下の著者ゆえ、Amazonからの直販のみ。街の本屋さんでは購入できない。ただし気仙沼だけは、地元の書店でも購入できるようにする予定だ。
内容は、記者時代にいろいろな場面で出会った12組(計22人)へのインタビューと、記者として体験した出来事を四つに分け、オムニバス形式で挟み込んで1冊の本にした。
目次を以下に示す。
1、「カツ船、明日、入っぞ!」〜前文
2、「心に木を植えたカキ漁師」〜唐桑序文・追悼・畠山重篤さん
3、「駆け出し記者、竜宮城の株主になる」〜まちづくりカンパニー
4、「もまれガキ」〜畠山政則さん
5、「現代のまれびと・Iターン者」〜根岸えまさん
6、「港まち記者の喜怒哀楽とジレンマ1」〜遺影に誓った哀しい怒り
7、「悲しすぎる『よかった』〜震災・序文
8、「むごすぎる想定外」〜佐藤健一さん
9、「インターネットが繋いだ命」〜内海仁一、直子夫妻
10、「九死に一生、海抜10mの罠」〜熊谷伸一、節子夫妻
11、「形見の現金書留」〜佐藤昭一さん
12、「田舎記者の喜怒哀楽とジレンマ2」〜カーナビ古地図
13、「海と生きるという文化」〜山内宏泰さん
14、「気仙沼の命を考えた勉強会」〜高橋正樹さん
15、「目黒のサンマは気仙沼に限る」〜松井敏郎さん
16、「やっぺし。圧力団体・気仙沼つばき会」〜髙橋和江さん、斉藤和枝さん
17、「田舎記者の喜怒哀楽とジレンマ3」〜地元記者としての初心
18、「I&UでOターン・気仙沼と歩む」〜竹内順平&千晶夫妻
19、「田舎記者の喜怒哀楽とジレンマ4」〜10秒後への教訓
20、「あとがき」
簡単に説明したい。
「1」は、東日本大震災後、応急復旧した気仙沼市魚市場への初水揚げの様子。「復興」へ人々が歩み出した瞬間を書いた。
「2」の畠山重篤さんは、「森は海の恋人運動」と題した植樹活動を通じ、山〜川〜海の連関の大切さをソフトパワーで訴えた。SDGs(持続可能な開発目標)の先駆けで、教科書にも活動が取り上げらた。残念ながら今年4月に他界し、インタビューは叶わなかった。しかし長年の取材を通じて、大変大きな示唆を受けた。その思い出を記した。
「3」は、気仙沼市唐桑地区で80年代に開催された「唐桑臨海劇場」と銘打ったまちおこしイベント、その後、株主会社「まちづくりカンパニー」を立ち上げ、さまざまなチャレンジをした人と、記者なのに株主となった筆者のドタバタを書いた。
「4」は、気仙沼市の「ふるさと納税」の返礼品の目玉の一つにもなっている、手のひら大のカキを作る、生粋の養殖漁師・畠山政則さん。震災後のリーダーシップの凄みも感じてほしい。
「5」は、震災後、気仙沼市に移住し、遠洋マグロ船の船長と結婚。漁師まちである気仙沼の活性化に走り回る根岸えまさんを取り上げた。
「6」は、16人の人命を失った悲惨な海難事故を取材した地元記者の悲喜こもごもを書いた。
「7」は、今でも「悲しすぎる」出来事を紹介する。
「8」は、あの「想定外」の大津波を巡り、最も準備し、しかしながら悲しい結果に直面した元気仙沼市危機管理課長の佐藤健一さんに、当時の思い、今の決意を聞いた。
「9」は、猪瀬直樹さんの著書「救出」。テレビドラマにもなった。ツイッター(現X)を通じて、多くの命を救った物語。私自身が取材をした内海さんご夫婦に、改めて話を聞いた。
「10」は、気仙沼市で最大の幼稚園を経営する熊谷伸一さんと、奥さんが実際に2mを越す津波に襲われながら、まさに「九死に一生」を得た経験と、教訓を書いた。
「11」は、気仙沼市で最大の被災地となった「鹿折(ししおり)」地区で二親を失い、10年間は月に1回、今でも2ヶ月に1回、里帰りし、墓前に手を合わせる佐藤昭一さんの心情をただした。
「12」は、今は記録と記憶にしかない震災前の地図を映し出すカーナビの意味と、意外な価値を紹介した。
「13」は、リアス・アーク美術館の山内宏泰館長に、津波常襲地帯に住む私たちの生活・文化を織り込んだ「海と生きる」という決意を聞いた。
「14」は、震災後、長大な防潮堤から気仙沼の景観を守った人々の奮闘ぶりを、その中心人物だった地元企業、気仙沼紹介の高橋正樹社長にインタビューした。
「15」は、30年続く目黒区での気仙沼産サンマを炭火焼きで味わってもらう「目黒のさんま祭」の発案者であり、会長の松井敏郎さんが経験した、「まさか」を含む物語の裏話を含め取材した。
「16」は、気仙沼市の女性団体「気仙沼つばき会」の代表者にインタビュー。「気仙沼漁師カレンダー」「出船送り」「市場で朝めし。」など、八面六臂の活動をじっくりと聞いた。
「17」は、地元記者として直面するジレンマについて、あれこれ紹介する。
「18」は、震災後、気仙沼での落語会を続ける立川志の輔師匠の長男で、東京都内で梅干しをメインにした店を3店経営する傍ら「気仙沼漁師カレンダー」の制作を9年担当した竹内順平さんと、その妻であり、私の長女でもある佐藤千晶夫妻に震災を経て、今を生きる、その経緯、思いを聞いた。
「19」は、まさに私たちが今、災害から自らを守る自助。やるべき「備え」について提言した。
1冊1870円(税込)。手前味噌になるが、読んでいただいた方からは、そこそこ好評をいただいている。ぜひ手に取っていただき、読んでいただければ、それに勝る喜びはない。「よろしくお願いします!」
編集部より追記
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