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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(18)「気仙沼市復興祈念公園」
気仙沼湾を見下ろす、海抜60mの小高い丘。気仙沼市陣山(じんやま)に、2021年3月11日に開園した「気仙沼市復興祈念公園」。 東日本大震災から丸10年。大方の復興を終えつつあった、まさに節目の日に「祈り」のモニュメントは生まれた。 最も高い場所にあるのが、「祈りの帆(セイル)」。船体に使用されるアルミ鋼材で出来ている。高さは10m。船の帆と合掌する両手を模した。飾りっ気のない白い空間の中に入ると、透明なアクリル板の献花台があり、祈る「両手」「帆」の間から、気仙沼湾を望む... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(17)「恵比寿像と浮見堂」
気仙沼湾の最奥に位置する内湾。古くから「鼎(かなえ)が浦」の呼び名がある。 「鼎」とは三本の脚を持つ鉄製の釜を指す。よく3人による対談を「鼎談」と称するのは、これに由来する。 気仙沼内湾の三本の脚となる岬。最も南に位置する「蜂ヶ崎(はちがさき)」。三陸道気仙沼湾横断橋の北側にある。 柏崎(かしざき)は、石灰岩の崖が湾に突き出しており、気仙沼プラザホテルが建つ。最近、全国放送でも「気仙沼湾と横断橋、その先にある大島」という景観が、天気予報のコーナーに登場することが増えたが、... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(16)「ふるさと納税」
気仙沼市ふるさと納税公式サイトhttps://kesennuma.furusato-nozei.jp/ 気仙沼市に寄せられた2024年度の「ふるさと納税」の寄付額が昨年末で既に100億円の大台を大きく超え、112億7000円に達したことを市は明らかにした。前年度(2023年度)、東北で最多を記録した94億円から更に上積みをし、初の100億円台に乗せた。本年度の「東北一」連覇も見えてきた。 4年前の20年度には4億円だった気仙沼市への「ふるさと納税」寄付額は、21年度に14億円、22年度に49億円、前年度の94億円と倍々ペースで増加してきた。前... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(15)「気仙沼湾横断橋」
気仙沼湾横断橋をくぐり、魚市場を目指す漁船 東日本大震災からの復興シンボルとして整備が進められた三陸縦貫自動車道は、今から3年前の2021年12月18日に全線が開通した。宮城の県都・仙台市から、被災した石巻市、南三陸町、そして我が気仙沼市を経て、岩手県では「奇跡の一本松」、昨今では大リーグを目指す「令和の完全試合男」、佐々木朗希投手の出身地である陸前高田市、鉄の町として名を馳せた釜石市、宮古市と北上し、青森県の雄都である八戸市を結ぶ全長359kmの自動車専用道だ。 その中でも、よりシン... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(14)「海のミルク・カキ」
気仙沼市唐桑町地区の穏やかな湾内に並ぶカキの養殖筏 食欲の秋ー。日本は、海に囲まれ、緑の山野が広がる豊かな自然に恵まれている。しかも四季があり、旬の味覚を楽しむことができる。 気仙沼でも秋は、美味しい物の列挙に暇がない。まずは脂の乗った戻りガツオ。そしてサンマ。最近は暖流の勢力が強いため漁場も遠く、水揚げはかつてにくらべれれば芳しくないサンマ。しかも小ぶりなものが主体で「今は昔」的な存在なのが悲しい。真打はカキ。プリップリのカキは冬を越して来春まで、その美味を堪能できる三... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(13)室根神社と港まち・気仙沼
気仙沼湾内の漁港から室根山を遠望する。天気はまさに「雲居」だ。 「遠くは雲居(くもい)の室根山(むろねさん)」。 公立高校が長く男女別学だった宮城県。女子の鼎が浦高と2005年に合併するまでの旧気仙沼高は我が母校。冒頭に記したのは、当時の校歌の歌い出し部分だ。当地方の最高峰、海抜895mの室根山が、雲をまといそびえるさまを歌っている。しかし室根山は、岩手県一関市室根町(旧岩手県室根村)に位置する。宮城の県立高の校歌の冒頭に、他県の山が歌われていた。しかし、そのことへの異論は耳... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(12)気仙沼ホルモン
*写真は、ホルモンを焼きつつ、ビールを飲む至福の瞬間。撮影場所は「お福」店内。 俗に言う「ご当地・B級グルメ」。 気仙沼では、脂の乗った戻りガツオ、塩焼きサンマ、全ての味覚を堪能できるホヤ、秋以降に旨みを増すカキ、メカジキ…などなどの豊富な魚介類、さらには隠れた名産であるマツタケ、きれいな水が育む酒米から造られる地酒、あっ!忘れてはいけないフカヒレなどなど枚挙に暇がないA級グルメが盛りだくさん。 そんな大谷翔平選手クラスの名グルメに対して、気仙沼人にとって愛してやまない肉料... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより(11)気仙沼とフェンシング
凱旋パレードに臨むロンドン五輪フェンシング日本代表メンバーら。左から2番目に当時の千田選手、1人おいて菅原選手=2012年8月12日、気仙沼市田中前 佐藤紀生撮影 2024年、フランス開催のパリオリンピック。今回も日本人選手はフェアプレーに徹し、懸命な戦いを繰り広げた。その中には、金2個を含む5個のメダルを獲得したフェンシング日本代表の躍進も含まれる。しかも男子個人エペ、同団体フルーレでは共に初の金メダル。男子団体エペで銀メダル、さらに女子はフルーレ、サーブルの団体で初の銅メダル獲得と... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑩ 夏の旬・カツオとホヤ
気仙沼の夏の食卓の定番、カツオの刺し身とホヤ酢 気仙沼港を代表する魚を一つ挙げるとするならば、それは何と言ってもカツオになる。カツオと言うと、高知県や鹿児島県をイメージする人が多いと思う。カツオのたたき、カツオ節など代表的な食文化を持ち、それは全国区で浸透している。 しかし生鮮カツオの水揚げ日本一となると、それは気仙沼港になる。昨年で27年連続となり、今年も「戻りガツオ」シーズンとなる秋を待たずしてライバルの千葉県勝浦港に肉薄。追い越すのはもはや確実な状況だ。 カツオは黒... -
【連載】ギッチョムの気仙沼だより⑨・ツツジに包まれる徳仙丈山
「つつじ街道」手前、満開のツツジを歩く 50万本ものツツジが自生する気仙沼市の徳仙丈(とくせんじょう)山。5月中旬から下旬というわずかな期間ではあるが、全山が真っ赤に彩られる。その鮮やかさに加え、天気のいい日はそこかしこからツツジ越しに気仙沼湾を遠望できる。その景観もまた乙なものがある。 リアス海岸ゆえに、海と山は近い。徳仙丈山の標高は711m。7合目にある山道入り口(標高511m)まで車で行ける。内湾で潮風を浴びた後、30分もかからず森林浴ができる山懐深い場所へと移動できる。気仙沼...
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