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【連載】掌の物語③ ウサギのこと・樹 亜希
地下鉄二条城駅の近くにかわいいカフェがある。 私はそれを知らなかった。どうして今まで知らなかったのかは、色々と私的に面倒かつ、思い出したくない辛いこともあり、ここでは触れない。 堀川という川には水の流れはほぼない。 昔は水量はあったのだろうか、かなり深くて広い。車線一本ほどあり、昔から不思議だなと思っていた。なんのために? その静かな街並みには、会社やホテルが並んでいる。 自転車で行ける範囲でカフェがあるときいて、私は走り出した。 街並みに溶け込んだ、たたずまいに兎珈琲の... -
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【連載】写真短歌(3)・・川喜田 晶子
今宵また君の深みへ身を投げて月の素顔に逢ひにけるかも -
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【連載】掌の物語② 邂逅・樹 亜希
お正月3日のお話ですが、編集部の都合で掲載が遅れました。 今日はあなたの誕生日、忘れようもないお正月の3日なんて。 卑怯だと思う、今もなお私の脳裏と心に刻んでいるんだから、あなたは私の誕生日など忘れてしまっているでしょ。 いつもより人の少ない道路の端を自転車で走りながら思う。 忘れたいのに、忘れられない記憶をフラッシュバルブ記憶という。 昨年からメンタル心理カウンセラーの資格取得講座の学習を始めて知った。大学時代には心理学を一年だけ勉強したが、バイトが忙しくてなかなか精読... -
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【連載】掌の物語① 白い祝福・樹 亜希
白い祝福 昨夜から冷え込むと思ったら、目覚めると窓の外は雪景色だった。 暖冬と叫ばれていた昨年末から、今年の年越しは本当に暖かかった。過ごしやすく、のんびりとしていると、長い横揺れに襲われた。地震、それもかなり大きな。 成人式が一月十五日ではなくなってから、何年が経過したのだろうか。 私は母親が虚栄心を満たすために、知り合いの呉服屋で買った、振り袖を否応もなく十八歳から着ていた。今では考えられないようなばかばかしい話だが本当なので、仕方がない。同じ大金をだすのならば何回も... -
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【連載】写真短歌(2)・・川喜田 晶子
真つ白な君の静寂(しじま)のひと呼吸 抱いた剣(つるぎ)の目ざむるやうに -
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【連載】写真短歌(1)・・川喜田 晶子
弦月に斬られたやうな傷口は 君に逢ふまで塞がずにゐる