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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.12―府中(現在の静岡)から蒲原までの旅―横山 実
1.4月4日(火)―府中(静岡)からの出発 シーボルトは、激しい雨の中、府中を出立しましたが、まもなく数軒の小さな店に気付いています。「家々には十二羽あるいはもっと多くのウズラを入れた小さい鳥籠が掛っているのが、よく目についた。この鳥は、ここから余所の地方に広く売られていて、啼き声の良し悪しによって小判一枚ないし二枚の値段がする」((シーボルト著・齋藤信訳『シーボルト参府旅行中の日記』(思文閣出版、1983年)87―88頁。以下、この本は、『日記』と略記します)のです。シーボルトは、... -
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【連載】写真短歌(10)・・川喜田 晶子
「ただいま」と「はじめまして」の等しさをくちうつされて秋は来にけり川喜田 晶子 萩の枝先に舞い降りた蝶は、「ただいま」と言っているのでしょうか。それとも「はじめまして」と言っているのでしょうか。萩は去年の萩ではなく、蝶も去年の蝶ではないはずですが、そこには、不思議な約束の匂いがして、間違えずにこの枝に舞い降りたのだ、という確かな気配が漂っています。絶対的な懐かしさと新鮮さ。その融合の相を見誤らないことこそが、生きる上でなにごとかなのだとおもわれます。「おかえり」。そして「は... -
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一枚の写真「金木犀の終わりと14ヶ所」・・太宰 宏恵
金木犀の香が漂ってくると、秋の訪れを感じます。 涼しい初秋の空気に、この金木犀がよく似合うと思い、撮影を楽しみにしていました。数日、カメラを触ることができない日が続き、やっと金木犀を写真に収めようとすると、枝にはもう、葉だけが残り、鮮やかなオレンジ色の花々は、ほとんど落ちていたのです。 残った花と枝葉の様子を上手く撮影はできなかったものの、辺りに落ちた小さな花たちがとても可愛らしく、地面の上で今もなお、嬉しそうに咲いておりました。 香をかすかに感じながらそれらを撮影し、家に戻... -
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童謡唱歌をもっと楽しく 10月19日(土)・伊藤康英、見角悠代
画像は東大和市ハミングホールのサイトから援用しています。 伊藤康英の童謡唱歌をもっと楽しく5 今年もやります! お馴染み、見角悠代+伊藤康英のコラボレーション。 開催日2024年10月19日(土)開場13:30開演14:00会場東大和市民会館ハミングホール小ホール料金全席自由一般1,000円 友の会800円 詳細、お申込みは「東大和市 ハミングホールのサイトをご覧ください。 -
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見角 悠代(みかど はるよ)・音楽家への軌跡(5)
第5回 大学院での2年間は飛ぶように過ぎました。かつては助演だったオペラにも、キャストとして出演させて頂けるようになり、時折思った通りの声が出せるようになったような気がしたり、友達を相手に宇宙人みたいな会話もできるようになっていたかもしれません。 ある時、「コロラトゥーラソプラノ」というキーワドであれこれ探しているうちに、その代表格である「ナクソス島のアリアドネ」というオペラの『ツェルビネッタ』という役が歌う「偉大なる女王様」というアリアに出会いました。それをきっかけにリヒャ... -
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【連載】ギッチョムの気仙沼だより(12)気仙沼ホルモン
*写真は、ホルモンを焼きつつ、ビールを飲む至福の瞬間。撮影場所は「お福」店内。 俗に言う「ご当地・B級グルメ」。 気仙沼では、脂の乗った戻りガツオ、塩焼きサンマ、全ての味覚を堪能できるホヤ、秋以降に旨みを増すカキ、メカジキ…などなどの豊富な魚介類、さらには隠れた名産であるマツタケ、きれいな水が育む酒米から造られる地酒、あっ!忘れてはいけないフカヒレなどなど枚挙に暇がないA級グルメが盛りだくさん。 そんな大谷翔平選手クラスの名グルメに対して、気仙沼人にとって愛してやまない肉料... -
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【連載】シーボルトの江戸への旅路 No.11―日坂から府中(現在の静岡)までの旅―横山 実
1.4月2日(日)―日坂からの出発 日坂宿は、比較的小さい宿場で、天保14(1843)年の記録によると、本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠屋33軒等、家数168軒で、住民数は750人でした。大田南畝(1749年-1823年)の「改元紀行」によると、ここではわらび餅が売られていました。また、峠越えをしてきた旅人の足の痛みを治癒する足豆散・足癒散等も売っていました。 シーボルトは、宿を出て山地を通り、東海道の三大難所(峠)の一つとされる小夜の中山へと向かいました。彼は、小夜の中山には「鳴らすと願をかけた人に銭... -
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一枚の写真「空の景色に」・・太宰 宏恵
最近の空はとても美しく、 その表情は刻一刻と変わり、 ずっと眺めていても飽きない程です。 10年前の日本の空は、こんなに高く、 光が澄んで、ドラマチックだったでしょうか? ほぼ360度、空が見渡せる場所から、 5分毎に飛行機が下降してくるのが見えました。 光と雲だけの空よりも、 飛行機の登場により、 ぐっとその景色に引き込まれ、 慌ててシャッターを切ります。 空には毎日多くの人が居るのだと思うと、 不思議な気持ちに包まれ、 飛行機が見えなくなるまで、 その景色をしばらく見つめていました。 -
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【連載】写真短歌(9)・・川喜田 晶子
君にだけ軌跡の見える火矢ひとつ つがへて秋の芯を射るなり 川喜田 晶子 その人にしか見えない世界を歌う歌。その人にしか見えない世界をその人にしか描けないように描く作品。それらが〈個〉の殻を打ち破って他者に届くのは、思えばとても不思議なことです。この人は、自分のために歌ってくれているのではないか。自分のために描いてくれているのではないか。この人はなぜ、自分の心の扉をこんなにもやすやすと開けてしまうのだろう。少し青春の匂いのする、そのような出逢いの甘さも苦さも掬い上げつつ、孤独... -
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【連載】掌の物語(15)たくましいトンボ・樹 亜希
会う人みんなが言う。「もう、暑いのは飽きた」 京都では、年々夏の期間が長くなり、冬になればまた、底冷えしてたいそう冷える。なのに、体温を越えて、四十度近い気温が何十日も連続すると、からだから精気が汗とともに、流されて行く気がする。 私がまだ、学生で若かった頃は祇園祭が楽しみで、大文字もそこそこ嬉しく思った。本当は宗教行事で故人がお盆の間におもどりになり、また、彼岸の向こうへお戻りになる。それが大文字の送り火なのだ。 「今年は一緒に行けるよね」「いや、まだ、だめだ。誰が見て...
