【連載】ギッチョムの気仙沼だより① 大島の亀山にモノレール

亀山山頂からのリアス海岸の景色

 気仙沼沼湾に浮かぶ大島。東北地方最大の有人島で、面積は8.5㎢。東京23区で一番狭い、上野や浅草を抱える台東区が10.1㎢。比較するには人口規模が違うが、意外と広いとも言える。過去には5000人ほど居住していたが、少子化に東日本大震災などの影響も重なり現在は2200人ほどが住む。
 その特徴は、大島出身の童話作家・水上不二が「海はいのちのみなもと 波はいのちのかがやき 大島よ 永遠に緑の真珠であれ」と謳ったように、緑と白砂青松の島だ。「亀山」(かめやま・標高235m)の裾野に2023年6月に「きれいで安全で誰もが楽しめる優しい海水浴場」としてブルーフラッグビーチに認定された「小田(こだ)の浜」、全国でも珍しい鳴き砂の渚「十八鳴(くぐなり)浜」などが点在する。「三陸復興国立公園」「海域公園」「三陸ジオパーク」の一翼を担う離島だ。
 2019年4月に気仙沼大橋が開通し、本土とつながったことで、船でしか行けない純粋な離島では無くなったが、旅客船は観光船へと転向し、ウミネコ餌やりツアーは今でも子供達に大人気だ。
 震災を乗り越え、悲願であった橋も架り、かつての旅客船乗り場一帯には飲食店などが軒を並べる観光拠点施設も整備された。
 しかし1つだけ懸案になっていたのが、麓と亀山を結んでいた亀山リフトの再建、もしくは代替手段の構築だ。
 あの日。気仙沼湾は船舶の燃料である重油に火が付き、文字通り真っ赤な海と化した。大島にも火は襲いかかり、リフトは焼損。スキー場でよく見る1人乗りのリフトは老朽化し、強風時や冬季間は運休するため、代替施設を模索している最中だった。無くなってみれば、その昭和レトロで、自然を肌で感じる登山方法ーと懐かしむ声もあった。しかし一方で「高齢者や小さな子供も安心して通年利用できる乗り物がほしい」という声が市民の中で広がった。
 交流人口拡大を復興の柱の1つに打ち出している市は、8合目に駐車場を整備、山頂一帯を結ぶシャトルバスを導入したが「不便」「魅力に乏しい」と厳しい意見も出ていた。
 模索が続く中、内閣府の「地方創生拠点整備交付金」の獲得に成功。現在、駐車場と山頂までを斜行モノレール(20人乗り2両編成)を設置する工事が始まった。長さは約433m。開業予定は2024年度内。あと1年ちょっとだ。
 亀山の山頂の魅力は360度のパノラマでリアス海岸の美しい景観を一望できることだ。今回の整備ではレストハウス機能の強化、公園内には家族連れで楽しめる遊具などの設置も検討している。震災の恐ろしい体験を乗り越え「海と生きる」を掲げてきた気仙沼の未来を開く、そんなモノレールになってほしい。
 

佐藤 紀生

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