ギッチョムの気仙沼だより(28)「星空がきれいな港まち・気仙沼」

写真は「小田の浜から眺める星空」(気仙沼観光コンベンション協会HPより)

 気仙沼は、三つの「光」が楽しめる。
 一つは「夜景」。
 「鼎(かなえ)」の形に波静かな入り江と、その湾の入り口に位置する「緑の真珠」と地元の詩人が称した大島がある気仙沼湾。
 2011年3月11日の東日本大震災で尊い命を落とした犠牲者の鎮魂と慰霊のために建造された気仙沼市復興祈念公園、さらには気仙沼湾を一望する安波山(標高239m)から見下ろす夜景は、規模こそ小さいが、全国有数の水揚げを誇る気仙沼魚市場を抱える湾全体を囲み、家々の灯り、そして魚市場や三陸自動車道気仙沼湾横断橋、さらには気仙沼大橋のライトアップの光が織りなす夜景は、海の盆栽とでも言うべき趣がある。岸壁に並ぶ船の中には、翌日の出航の準備のため、照明を点けているのもあり、秋などは「光の漁」とも言われるサンマ船の集魚灯のライトも、絶妙なアクセントとなり、気仙沼らしい夜景となる。

 二つめは、「漁火」(いさりび)だ。
 イカ釣り船は周年、漁をするが、特に多く出漁する秋から冬にかけて、気仙沼湾の沖合には、点々とイカ釣り船が浮かび、幻想的な光を届けてくれる。サンマの漁場は北海道沖が主体であり、残念ながら気仙沼からは「漁火」として、見ることはかなわない。かつて灯りは白熱電灯だったが、今はLEDとなった。「昔の白熱電灯の方が趣があった」と話す人もいるが、私はLEDの光の方が、柔らかく見える。私事になるが、標高約100mの我が家からも、大島を抱く気仙沼湾と、その沖合が遠望できる。海のあちこちにポツン、ポツンと揺れる「漁火」は、夏が終わり、秋となり、冬の冷気の中、夜景とともに気仙沼を彩る。

 そして三つめが、今回、紹介したい「星空」だ。街の灯りのない気仙沼の山手は、全国でも有数の星空観測に適した地域として知られている。
 1999年、環境省が行なった「星空全国継続観測」で全国の市町村で2位という極めて高い評価を受けた。もちろん、その場所は街の光が届かない気仙沼市の西部丘陵地区ではあるが、澄んだ空気と晴天率などから、天文学者から高い評価を得た。
 中心市街地を抱く港まち地区は、夜景、漁火もあるが、それでも、その影響が少ない場所もある。
 特に大島の海水浴場である小田(こだ)の浜は、目の前に水平線が広がり、そして気仙沼の市街地の灯りは大島の背骨に当る小高い丘陵部が遮り、満天の星を眺めることができる。しかも波が打ち寄せる音に耳を傾けながらの星空観測は、心を癒やす。
 さらに大島の亀山(標高235m)山頂からは、昼間は360度のリアス海岸の景観が素晴らしいが、夜は水平線から視線を上に向けると、まるで星空の真ん中にいるような幻想的な雰囲気を味わうことができる。
 今年(2026年)7月には亀山山頂へと人々を運ぶモノレールが完成する。その場合、気仙沼の市街地側を見れば夜景を、季節によっては海に点々と浮かぶ「漁火」。そして満天の星に抱かれる贅沢な時間を過ごすことができる。
 今までに何度か、アマチュア天文愛好家が企画し、子どもたちが参加する「星空観測会」を取材したが、天の川をはじめきらめく星々と、天空を静かに移動する月とのコントラストは、うっとりするほど美しい。
 また観光業者が行う「サンセット・ナイトクルーズ」は、「夕景から夜景」「漁火」「星空」を楽しめるツアーだ。

 気仙沼。夜の魅力は美味しい魚料理、気仙沼ホルモンを出すお店の灯りだけではなく、ここで紹介した「三つの光」もぜひ体験してほしい。

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