【連載】写真短歌(23)・・川喜田 晶子

うつし世の手垢のつかぬもみぢ葉の ひとりでもなくふたりでもなく
川喜田 晶子

人の目に消費されていないひとひらのもみじ葉をこっそり楽しみました。
古びた神社の舞殿で、己れの影と仲睦まじい葉っぱの姿は、他者や社会への気遣いだの自意識だのからはるかに遠く、しみじみと満ち足りておりました。
ひとひらの葉っぱではありますが、それは、ひとりとかふたりとか、この世のものさしで数えてはならない輪郭を持ち、軽やかにあたたかく、凜としているのでした。

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