

ことし2026年で74回目を数えた「気仙沼みなとまつり」は、8月1、2の両日、名前の通り「気仙沼湾」一帯で開かれた。
仙台七夕や秋田竿燈まつりなど、東北を代表する祭りではないが、日本有数の漁港である気仙沼の心意気、活気を感じることができる。気仙沼人にとっては、まさに一年に一度の「ハレ」の日であり、大人にとってももちろんだが、あのワクワクする祭りの雰囲気と楽しさは、気仙沼っ子にとって、時を超えて心の奥底にあるキラキラした思い出として、いつまでも輝きを保つ。
それは祭りの出し物に参加した人であろうと、友達や家族と連れ立って祭り会場をぶらつき、出店で買った焼きそばとかき氷を食べ、大人はビールを、子どもたちはコーラなどの清涼飲料水で乾いた喉を潤す。そして様々な出し物を見聞きし、花火を見上げ、夏の1日を気仙沼全体で共有する。
「ハレ」の日とはいえ、1年に1回の恒例行事。とはいえ東日本大震災が発生した2011年は中止となったし、新型コロナで休止した行事もあった。私たち全員、「恒例行事」がつつがなく開催されることのありがたみを肌で知っている。港まち・気仙沼とともに生きていくー。大袈裟だが、その思いを新しくし、祭りを楽しむことができる瞬間、瞬間に感謝をする。そんな意義もある。これは何も気仙沼に限ったことではない。全国津々浦々、日本を代表する祭でも、東北三大祭でも、気仙沼みなとまつりのような市町村単位、さらには町内会単位の盆踊り大会、家庭での花火大会に至るまで、いずれも幸せを神々に祈る、そんなひとときであろう。
気仙沼みなとまつり。2026年は「アラナミを遊び尽くせ!」をテーマに打ち出し。改めて港まち・気仙沼の活力とイベントならではの遊び心を前面に打ち出した。1日目は夕方から気仙沼湾のシンボルの一つであるサンマ、マグロなどを漁獲する大型漁船が連なって係留される「出漁準備岸壁」と平行して走る4車線の市道で「はまらいんや踊り」が開催された。あいにく雨が降り続く天気となったが、51団体・2200人が様々な出立や、工夫を凝らしたコスチュームに身を包み、生演奏に合わせたオリジナルソングに合わせて、掛け声を上げ、小中高生のグループや若者たちは、大きなジャンプや動きの激しいダンスで場を盛り上げた。毎年、揃いの法被姿で一糸乱れぬ華麗な踊りを披露する女性団体、さらには震災後、ボランティアで駆けつけ、現在も気仙沼と縁を持ち続けている人たちも笑顔で踊りの輪の中にいる。
踊りは、簡単に言えば校庭にある陸上競技トラックを巡回するように移動しながら行われる。熱中症予防などを兼ね、時折休憩を挟むが、今年は雨が冷却剤となり、踊り手の方は例年、汗でびしょ濡れなところ、今年は雨でずぶ濡れだった。そこもまた、いい思い出になったであろう。ただし随行するスポーツドリンクなどを運ぶ補給部隊は大変だっただろうが…(笑)
翌2日目は、「みなとまつりパレードステージ」で開幕。前回までは市街地約540mの区間を出し物が移動する形だった。私たちが子どもの頃はさらに長く、各地区の郷土芸能などが競い合うように参加していたが、次に紹介する「打ちばやし大競演」が定着すると、徐々に参加団体も減った。さらには市街地移動では開始場所と終了の場所が違うのが参加団体にとっては少なくない負担でもあった。
そこで今年からは「はまらいんや踊り」と同じ市道を「ステージ」とし、さらには参加団体も吟味し、見る人を楽しませることを徹底して考え直した形にした。昔は「参加する」ことが半ば義務化し、マンネリという参加団体にとっては不本意な声もあった。今回の変更は、今後もより良いパフォーマンスをしていくという決意表明と言える。
そして夕方からは、気仙沼市の各地にある打ちばやし保存会が一堂に会し、約600基の太鼓が「うんずら」など、気仙沼が生み出した曲を笛と太鼓で演奏する。「うんずら」は「運が連なる」が訛ってできたとされる。自然相手の港まちらしく、ここにも天に安寧を祈る音楽を届ける。港に浮かぶ「台船」を舞台とし、エビス様などを飾りつけた「海上ねぶた」(写真1)。これは青森の「海上ねぶた」を真似た。パクリとは言わないでほしい。あくまでも同じ海に生きる地区同士のオマージュと理解してほしい。
祭りのフィナーレは「海上打ち上げ花火」と、気仙沼市と旧唐桑町が対等合併し新・気仙沼市が誕生してから20年。市制施行20周年を記念する「ドローンショー」が夜空を彩った。初めての試みだったが、大好評だった。
恵比寿像、漁船と大漁旗、ホヤぼーやの一本釣り、カツオ、そして震災後に完成した三陸自動車道気仙沼湾横断橋、そして震災復興祈念公園の祈りの像、最後は「Anniversary 20th KESENNUMA CITY」(写真2)で締め括った。個人的には今後の恒例にしてほしい。
前回、紹介した「亀山モノレールの開業」。予想を大きく上回る来場が続く。今後は頂上のさらなく整備、市内各種施設との連携、飲食店や観光コースの提案など、お客さんを飽きさせない不断の工夫が欠かせない。
その一つには当然、気仙沼みなとまつりのブラッシュアップもあろう。1951年(昭和26年)から歴史を重ねてきた気仙沼の「ハレの日」。一時期、マンネリ打破が叫ばれ、1991年(平成3年)に導入され、市民ぐるみで参加できる祭りにした「はまらいん踊り」の導入は、見事にその役割を果たした。カッター競漕、打ちばやし大競演も、サンマ船の特徴の集魚灯の点灯、そして今回のドローンショー。
新味を加え伝統を守る。変化に敏感に生きてきた港まち・気仙沼らしい祭りの引き継ぎ方だと思う。
毎年8月の第一土曜・日曜に開催される「気仙沼みなとまつり」。ぜひ来年は「亀山モノレール」の搭乗と合わせて、ぜひ遊びに来ていただきたい。
