【連載】一枚の写真「雨の憂鬱」・・太宰 宏恵

雨の降る日は、ずっと苦手でした。
髪の毛がまとまらないし、
湿度がまとわりついて、
空気すら重たく感じてしまう。
「憂鬱。」
そんなイメージが拭えず、
梅雨に入ったばかりのある日、
窓から雨の景色を眺めていると、
「きれい。」
という言葉が自然に湧き上がりました。

細かな雨が景色全体を包み込み、
ベールの向こう側にぼんやり見える自然が、
静かに揺れている。
「柔らかで、なんてきれいなんだろう。」

雨が上がって植物に近づくと、
ベールのようだった雨が、
それぞれの植物の上で雫となり、
小さく輝きながら、
また違う景色を見せてくれるのでした。

私の持っていた「憂鬱」な気持ちは、
雨を不便だと決めつけた、
つまらない八つ当たりのようなもので、
雨そのものは、降っている時も、植物の上でも、
ただ純粋に輝いていたのです。

物事にラベルを貼ってしまうのは、いつも私自身。
この世界のどこに美しさを見出すのか、
それを決めて生きていけるのも、
私自身なのかもしれません。

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