
桜の木の写真を撮っていると、
後ろから名前を呼ばれました。
振り返ると、半年ぶりの友人が立っていました。
この場所の桜は、
先週に満開を迎えたと聞いていたので、
もう散っているかと思っていたのですが、
友人も同じことを考えて、この日に来たそうです。
小ぶりな桜の花びらが、
ひらひらと風に乗って落ちていくのを眺めながら、
しばらく立ち話をしました。
「あと10分遅かったら、会えなかったね」
「どこかに寄り道していたら、すれ違っていたかも」
そんなことを言いながら、
ほんの少しの違いで交わる人と、交わらない人がいることを思いました。
桜の木は、毎年同じ場所に立っているのに、
その下で誰と会うかは、少しずつ違っている。
偶然というには、少し出来すぎていて、
でも必然と言い切るには、あまりにもささやかで。
「じゃあ、またね」と手を振ったあと、
なんでもない時間だったはずなのに、
不思議と満たされた気持ちが残っていました。
春は、こういう小さな巡り合わせを、
そっと増やしてくれる季節なのかもしれません。
