
樹の梢(うれ)の息吹きと 何処かの哀しみと 誰かの恋と わが言霊と
川喜田 晶子
場所や個体が異なっても一斉に芽吹いたり花開いたりする自然界の姿を目にしますと、樹木の梢の一呼吸も、遠い何処かにある哀しみも、見知らぬ誰かの恋情も、祈りを込めて発する己れの言霊も、その個体だけの意思によるものではない、という想いにとらわれます。
どんな存在もわれ知らず〈類〉として振る舞っているのかもしれない、と思うことの、切なさと温もりと。
芽吹きの季節。
そのいのちのカオスには、〈個〉と〈類〉がやるせなくせめぎ合っているようです。
