【連載】一枚の写真「ゆらめく」・・太宰 宏恵
9月に入り、私の暮らす関東では、黄金色になった田んぼの稲が、次々と刈り取られていきます。 辺り一面に覆われていた稲が無くなると、その景色から、寒い季節へ向かっていることを突然認識し、地面の落穂と、刈られた後の稲の束がいっそう寂しく感じます。 日本人がお米を食べ始めたのは、遥か昔の3000年ほど前だそうです。完全に同じ形ではないにしても、日本人がずっと育て、伝えてきた大切なもののひとつであることは間違いありません。途方もない時間を経て、私にまで届いてくれた奇跡。 遠い先人たちと...