【連載】一枚の写真「風薫る頃」・・太宰 宏恵
日差しが強さを増す季節、木陰に入ると心地よく、爽やかな風が吹き抜けていきます。 目的もなく、自然の中に身を置いて、そこに息づく小さな営みをぼんやりと眺めるのが、愉しみです。 風の運んで来る香、若葉の合間から溢れる光と、地面に落ちる影の模様。高い木々からすっと、差し込む光。苗の揺れる水田に映り込む、流れる雲、忙しそうに群で移動する蟻の列と、遠くに響く鳥の声。 全てが輝きをまとって、私の目の前に現れます。 情報でいっぱいのデジタル画面から目を外した先には、今しか出会えない豊かな風...